「『結婚は罠』」モリーズ・ゲーム いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
『結婚は罠』
中々皮肉の利いた名言だが、これを年端もいかぬ女の子が口走っていたら、末恐ろしいと思ってしまう、そんな一人の女性の波乱に富んだ人生の作品である。構成としては、『マネーボール』や、『マネーショート』のような作りを施している。
とにかく、ジェシカ・チャステインのおっぱい(残念?ながらバストトップ無w)がガンガン露出される演出で、まぁ、それだけギャンブルとの親和性が強調されるのだろうと観客に思わせる。ポーカーの細かなルールは全く分からないので前半で置いてけぼりになるのは非常に残念。所謂『賭け事』に全くの門外漢からすると、今作品、楽しみの半分以下になってしまう危険性を持っている。勿論、テーマは、ギャンブルと言うより、『ファザーコンプレックス』に陥った女性が、それでもそのトラウマを抱えながら、復讐するように強い男を支配するという妄想に取憑かれて、持ち前の才能と度胸でセレブ達と丁々発止の対峙をしてゆき、降りかかるトラブルを乗り越えてゆくということである。
問題なのは、とにかくストーリー展開が飛ぶように速いと言うこと。光速でドンドン進んでゆくので、そのシチュエーションを鑑みる余裕は全く持たせない。今まで観た映画の中でも、そのスピーディさは群を抜いてるかもしれない。なので、中盤からほぼ、流れてくる映像をそのまま観流している状態になってしまう。だからもしかしたら仕掛けているのだろう伏線や、登場人物の機微等、全く追いかけられない。主人公の力強さは伝わるのだが、だからといって共感はさっぱり得られない。法廷戦術の件も、ドンドン先に進んでしまうので、頭の整理が全くといって良いほど出来ず、只、スクリーンを追ってるだけ。自分にとって今作品は、頭のCPUの処理能力を遙かに超えた情報量なのである。映画作品としてこの素材は果たして合っていたのだろうか?そういう意味でもかなり特異な作品である。今作品の対極は、『2001年宇宙の旅』なのかもしれない・・・