劇場公開日 2018年6月15日

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「いい映画は巧い映画だと思う」ワンダー 君は太陽 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5いい映画は巧い映画だと思う

2020年7月11日
PCから投稿

オギーの学校初日に先生が今月の格言を説く。
黒板には、
When given the choice between being right or being kind.
Choose kind.
と書かれている。
正しいか親切であるかの選択が与えられたとき、親切を選択しなさい──これは、この映画の主張だった、と思う。
個人的には、オギーを取り巻く健常者の悩みを併行で描いている手法に更なる感動があった。

映画は泣けるがお涙頂戴をぜんぜん用いていない。
比較する脈略は一切ないけれど、日本では、この手の話をお涙頂戴でない方法論で描けるだろうか・・・、
あるいは宇宙飛行士とスターウォーズのファンタジックな心象を交えながら描けるだろうか・・・、
と考えてしまいます。
Stephen Chboskyってウォールフラワーとこれだけなのに、2作だけで名監督の貫禄を感じます。

ところでこの映画、母はジュリアロバーツだし父はオーウェンウィルソンだし、子役達もIzabela VidovicもDanielle Rose Russellも綺麗です。
偏見を持つな・人を思いやれとの骨子に感動する以前に、わたしたちは彼らの美しさに気付いている──はずです。
彼らが美しいからこそ、偏見を持つな・人を思いやれという教導に寄り添い感動することができた、とも言えます。
すなわちChboskyは完全に意識的に、家族も子役も、美しい人たちばかりを集めている──と思わずにはいられなかった。かしがましいことを言うならオギーの顔の造形もどっちかといえば可愛いのです。醜を扱うために徹底的に醜を排除している──その「巧さ」。
映画が人を感動させるのは、一生懸命つくったとか、思いを込めた、とかではなく、徹底的に技巧──悪く言えば作為なのだ──と思うのです。

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津次郎