劇場公開日 2020年11月13日

  • 予告編を見る

「肥満が希望(ヒマン)?」詩人の恋 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0肥満が希望(ヒマン)?

2021年2月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 BLモノかLGBT問題の映画かと思ったら、全く違っていた。むしろ、家族の問題で貧困に喘ぐ家庭や介護の問題、詩で生活をしようとするもスランプに陥りダメ男になっていく様子を描いた作品でした。主人公テッキを演ずるヤン・イクチュンのだらしなさいところは役作りに精出したのだろうか、『息もできない』や『あゝ、荒野』とは違ったキャラなのに見事に演じ切っていた。

 不妊の問題が起こり、経済的な理由や親としての責任などを考え、子どもは要らないと言葉にはしないものの気ままに生きていきたい詩人。詩は同級生からも難しすぎると評されるほど難解だが、何度か賞ももらっている。通俗的でもないし、メッセージ性もないので、個人的には読みたくもないほど。小学校の講師をするほど頭の良さを見せるけど、やっぱり基本的には子ども嫌いなのだと想像できるのです。

 流れとしては、美男子に恋してスランプ脱出する展開。子どもだって好きになっていく。ゲイの描写はなく、詩人としての頭の中だけだったのだろう。金を渡すことによってその世界を教えてくれたセユンに区切りをつけたのかもしれません。

 結局、純朴であるために結婚生活も流されるまま。頭の中に靄が立ち込めていたのか、ドーナツを食うことによって血糖値が上がり、抑えてきた感情が爆発したような気がする。テッキは中年の腹になってきてるし、やがてメタボになっていく将来が見える。テッキには済州島という枠に収まることなく、色んなテーマで詩を書いてほしいものだ・・・なんのこっちゃ。

kossy