女教師　シークレット・レッスンのレビュー・感想・評価

ヒョジュ、ヘヨンの人間くささ。

非正規雇用への憤り、親のコネを使った若い教師ヘヨンへの嫉妬、いい年して無責任な彼氏への失望。
ヘヨンの弱みを握り、ジェハに近づくと、ここで全てのストレスを晴らすかのように夢中になってしまう、ヒョジュ。

ヘヨンは親のコネで、職も婚約者も全てが手に入り、若い男でも、もてあそぶ。
好きなことをやってるだけで、彼女なりの配慮をして、悪気はないのかもしれないけど、ゲームのような人生が人を傷つけている。

自分の気持ちに正直に生きてるだけで、どうしようもできないような、2人の人間くさい生き様。

ジェハは、美貌と才能があるも、傲慢さゆえか、2人の女性の間で騙し騙され、悲しい結末に。

感情に素直に生きてるだけだろうに、それぞれの運命が、なんとも悲しくて怖い。

　非正規の教員が何人もいる中で、学園理事長の娘チュ・ヘヨンがいきなり正規採用で赴任することになった。悔しい思いを噛みしめながらも、仕事に打ち込むヒョジュだったが、体育館倉庫で生徒のシン・ジェハと新任チュ・ヘヨンがセックスしている現場を目撃してしまう。弱みを握ったつもりのヒョジュだったが、自らもジェハにのめり込んでいってしまう。

　ヘヨンは婚約者あり。ヒョジュは同棲していた彼氏が家を出て行ったことで、バレエのレッスン代も払い、ジェハに溺れていく・・・結局はジェハを巡ってヘヨンと争う形となり、実はヘヨンとずっと陰で付き合っていた事実に驚愕し、ヘヨンを殺すことになったという話。

教頭や小説家志望のヒモ彼氏など嫌な人間が本当に嫌〜なかんじで描写されていて、主人公の鬱屈とした日々が身に沁みて感じられた。
そんな中に若くて可愛くい理事長の娘、ヘヨンが現れ、腹立つくらい恵まれた彼女に嫉妬が止まらないのもかなり共感できる。

バレエを志す綺麗な男子生徒との情事を隠れ見してからのヒョジュの表情の変わりっぷりが好き。
何か？みたいな顔してヘヨンを見たり、当てつけのように生徒を特別気にかけてみたり。
ただ自分も生徒にハマってからのなんとも言えない惨めさがめちゃめちゃ痛かった。
最後のヘヨンに対する行為はなかなかえげつなくて好きだしパトカーのサイレンの中サンドウィッチ食べる表情も好き。

ひとつひとつの要素はわりと好きなものが多いんだけど、全体的にちょっとフワッとしてるかなと感じた。
ヘヨンとか正直何がしたいのか全然わからない。
ヒョジュの弱みを握って奴隷のように扱うにしてももう少しやりようがあるのでは。
そもそもこういう女の子は映画なんかでたまに見かけるけど本当何考えてるのかわからないんだよな…

地味な女がキラキラした若い子に嫌がらせしまくるストーリーを期待してしまったのでちょっとがっかりしてしまったのかも。
ドロついた恋愛スリラーとしてはまあまあ楽しめたけど。

女優さん全員お綺麗なはずなのだけど、主演女優がちゃんと惨めで痛々しい。構図が逆転する、その演出も対照をなしていて良く出来ていて、「このクソカップル、制裁加えるべし！！」とまぁそういう展開を期待していたのでそういう意味ではカタルシスがあった。昔の映画のようなトラウマを少し残す映画かなぁ。すぐゲットアップするやんとか、細かいつっこみを感じなくはないかつ人に積極的には勧められない作品ではあるけれど、面白かった。