劇場公開日 2018年7月27日

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「アメリカ先住民だけの問題ではなく…」ウインド・リバー KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0アメリカ先住民だけの問題ではなく…

2020年9月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:TV地上波

TV放映分を録画して鑑賞。
作品自体も監督も知らなかった中で
思いがけず良作に出会えた。
そして、改めてアメリカ先住民が強いられた
過酷な環境に思いを寄せた。

この映画の中での犯罪を犯す面々は
不毛な居住環境と法の支配が弱いせい
とするが如くだ。
しかし、この原因は、アメリカ先住民が
過酷な環境の土地への居住を強制的に
強いられたのであって、
監督が訴えたいのは正にこの点だろう。

戊辰戦争の結果、
青森の斗南の地に強制移住させられ、
過酷な生活を強いられた会津藩の皆さんに
重なって見えてしまう。

時の勝者が敗者に強いる結果は、
決して他国や他人事の問題ではない
普遍的な戦争のもたらす悲劇
なのだろうと思う。

しかしながら、
映画冒頭での、事件で亡くなってしまう娘の
雪原の中での疾走の場面、
彼女のそれでも自ら置かれた環境と人を
愛するモノローグは、
映画の悲しい結末以上に
人間への希望を失っていない
監督のメッセージだったのだろうと思った。

KENZO一級建築士事務所