劇場公開日 2018年6月1日

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「王道を走る!熱き兄弟」OVER DRIVE 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0王道を走る!熱き兄弟

2019年1月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

興奮

また何かのコミックの映画化と思ったら、オリジナル。
公道を猛スピードで駆け抜ける自動車競技ラリーを題材に、邦画では珍しい本格的なレーシング・エンターテイメント。

こういう世界に全く以て疎い初心者の自分がまず思ったアホみたいな事。
サーキット・レースは知ってるけど、こういうラリー競技って、日本でも行われてるんだ…。
ラリーってどうも海外の競技のイメージだったから…。
ちゃんと団体や選手権もあり、調べたら年間通して各地で行われている。我が福島でも!
無知ってホント恥ずかしい…。

それも自分的には意外な驚きだったが、よく撮影出来たのも驚き。
日本各地でロケを敢行、山道や街中を突っ走る。
実在のラリー・チームの全面協力で、レース・シーンは迫力満点。邦画もなかなかやる!
監督の羽住英一郎は元々モータースポーツの大ファンで、それを題材にした映画を撮るのが夢だったようで、臨場感と熱意たっぷりに活写。

こういう作品の場合、話は王道でいい。
専門用語は多少飛び交うが極力抑え、知られざるラリーの世界を描くより監督はドストレートなエンターテイメントを目指したという。
ラリーの世界で生きる兄弟。
真面目なメカニックの兄と、自信家のドライバーの弟。
レースに対する考え方、過去のある確執、対立と衝突を繰り返しながら目指す優勝と、兄弟の絆…。
王道も王道。THE王道!
東出昌大、新田真剣佑が兄弟役で熱演。
こういう作品はドライバーが主役になる事が多いが、メカニックを主役の一人にした事で、ドライバーにも負けないメカニック・チームのドラマも描かれる。東出の役回りも悪くない。
何よりも自分とスピード一番で、メカニックの意見など聞きやしない画に描いたようなオレ様ドライバーの弟。真剣佑が男らしい魅力を発揮、鍛えた裸体サービスも披露。
女性ファンには堪らない!

王道ではあるが、その分、難点、ツッコミ所、ご都合主義も多々。
まず、ストーリー。レース・シーンの迫力やキャストの魅力の方が目立ち、話的には薄っぺらい。王道過ぎたか…?
漫画原作ではないのに、漫画チックでもある。
兄弟の過去のある確執…。深いドラマ性を期待したら、結局色恋沙汰。
新たに弟のマネジメント担当となったヒロイン。ラリーの知識は無く、本来のゴルフ担当に戻りたい。次第にラリーの世界に魅了されていく素人目線の導入口ではあるが、序盤は劇中同様お邪魔虫。森川葵は可愛いが。
品行方正のライバル・ドライバーとの闘いは大きな見所だが、もうちょっと深く巧みに対立ドラマを見たかった。
展開もちと早い。所々、ラリーのPVを見ているよう。
アクセル全開の熱い興奮は充分だが、一作品としてやストーリー性のカタルシスはスピンしてしまったようだ。
最期は呆気無さ過ぎて、失速。

優勝!…とまではいかなかったが、エンタメとして上々。
良くも悪くも、80年代の映画を彷彿させるような、ちょっとキザっぽいが、この熱さ、カッコよさには男なら憧れる。

近大