劇場公開日 2017年11月3日

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「真相は絵だけが知ってる」ゴッホ 最期の手紙 オカマ声ちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0真相は絵だけが知ってる

2017年12月1日
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本当は字幕版を見ようと思ったけど、時間が合わず吹き替え版を鑑賞。
結果、それが良かった!
静止画面でも常にタッチが動く壁や空気。
字幕を読む煩わしさが無く、素晴らしい画面を堪能したけど、見慣れないベットリとした油絵で描くアニメの世界は、他人の夢の中を歩いてるような変な感覚で、見た後も足元がフワフワしてた。
『夢』と言うとキラキラした感じに近いけど、どちらかと言うと悪夢に近いネットリした感覚が居心地悪い。
水面の反射、麦の揺らぎ、星の瞬き、人の苛立ちや不安を帯びた感情の震え。
素晴らしいんだけど生理的にモゾモゾする。

映画の内容はドキュメンタリーに近く、手紙を届けることで辿る『フィンセントとはどんな人物だったのか?』を探る旅。
自殺だったのか、他殺だったのか?
追い詰めたのは自分か他人か迫る不安か?
憶測は憶測のまま。
それは作品としてどうなの?と思うけど、人物に対して『知らない』と言うのはある『知りたい』と欲求をくすぐられる。
生前は認められず、死んでから評価されたフィンセント。
映画の最後は明るい言葉で〆られてたけど、それも本心だったのか?
たまたま見上げた空の星に心が揺れたのか……。
『何も解らない』それが魅力の作品だった。

オカマ声ちゃん