「シリーズファンなら大満足」劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ P CATさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0シリーズファンなら大満足

2019年4月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

幸せ

ユーフォ原作の第二楽章を、のぞみぞの物語(リズ)と本筋の物語(本映画)に分離した采配は大変良かった。

〇ストーリー
概ね原作通りですが、リズで既に描かれたのぞみぞと夢の話は省かれています。二年生になった久美子たちと曲者ぞろいの低音パート1年の話を中心に据えていますが、テレビシリーズよりもコンクールに的を絞っていない構成に感じられました。熱血な部活もの!という雰囲気は抑えられ、個々の人物の掘り下げに時間が割かれている感じでしょうか。練習シーンの分量は少なく、「あ、あの練習してたフレーズだ!」というような発見もありません。

よく言われることですが、高校二年生というのは一番楽しく忙しい時期です。恋に友情に、勉強に部活に、何もかも目まぐるしく過ぎていく日々を投影するかのように、映画もかなりのテンポで進んでいきます。原作未読だと正直全貌は把握しきれないと思われます。
しかし、その分見どころがたくさんあり、原作既読勢からすると満足のいく纏め方でした。

〇音楽
最後の演奏が素晴らしい。とにかく素晴らしい。リズでは結局完成された音楽は聴けなかったので、1年ごしの披露。のぞみぞは本作では一言もしゃべらないのですが、この演奏のおかげで強烈な存在感。思わず拍手しそうになりました。

〇作画
テレビシリーズの絵を引き継いでいます。リズには寄っていません。全体に背景が非常に綺麗。一方で少しばかり人物の描きこみが荒い箇所もありましたが、気になるほどではなかったと思います。引きのシーンではCGが使われていましたが、こちらもそこまで違和感はなしで、良かったと思います。

〇総評
リズのときも思いましたが、このシリーズは雰囲気の表現がとてもうまいです。夏の校舎の匂い、粘度の高い空気、そういうものがぱっと感じられる画。とても素晴らしい。
話としては駆け足になりつつも、従来のユーフォから更に情景描写が強化された秀作だと思います。ぜひテレビシリーズに加えてリズも見た上で劇場に赴いてほしいですね。劇場の音響で見る価値がある映画だと思います。

P CAT