劇場公開日 2019年11月15日

「スコセッシ同窓会+転校生」アイリッシュマン 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5スコセッシ同窓会+転校生

2019年11月15日
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鑑賞方法:映画館

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H・カイテルは主演で「ドアをノックするのは誰?」とデ・ニーロが"ジョニー・ボーイ"役でH・カイテルを食った「ミーン・ストリート」からの「タクシー・ドライバー」でのポン引き役は地味だったりでの、裏切りの"ユダ"を演じた「最後の誘惑」と演じる役柄の大小が激しいスコセッシ常連俳優だった。

本作での出演シーンは少ないながらも、メインである三人の存在感に負けない渋い演技で貢献。

引退状態?だったJ・ペシの復帰作にもなった本作での彼は、老いた姿に相変わらずな小さい体格でも貫禄十分な存在感で「グッドフェローズ」や「カジノ」で演じた狂気性を封印したかのような、しかし、そんな狂気性を内に秘めた静かな演技をしながらも、狂気を含んだようなジワジワくる怖さがあり、いつ爆発するのかとヒヤヒヤしながら魅せられてしまった。

そんなJ・ペシの代わりに感情を爆発させ周りを困らせる物語の核となるトラブルメーカー的な役回りをスコセッシ初参戦のA・パチーノがイキイキと演じている。

長い間、待ち望んでいたパチーノを演出するスコセッシをこれ以上にない最高な形で、叶った訳で。

スコセッシ同窓会が如く、デ・ニーロにJ・ペシ、H・カイテルが次々に登場し「グッドフェローズ」を彷彿とさせるスコセッシ節が炸裂する中、A・パチーノの最初のシーンで一瞬、別物なA・パチーノの単独主演作に色が変わる雰囲気がスクリーンを支配する違和感に期待度が倍増する。

止まれない勢いで我が道を進むA・パチーノ、穏便に済ませる程を保ちながらもとどめは刺せるJ・ペシ、周りに翻弄され板挟みになりながらも躊躇せず行動に移すデ・ニーロとこの三人のやり取り、会話、駆け引きに滑稽さや緊迫感など、観ていて休まるシーンは皆無で目を逸せない最後まで。

デ・ニーロ、J・ペシ、パチーノと、この三人が陥る状況やその姿に寂しさが増す哀愁が堪らない。

デ・ニーロとパチーノが"コルレオーネ"を演じてから「HEAT」での初共演的な夢のような再共演から「ボーダー」でのガッカリ感を払拭したスコセッシの手腕が健在な本作「アイリッシュマン」の凄味、J・ペシが正気じゃない狂気性炸裂な「グッドフェローズ」と「カジノ」からデ・ニーロなラモッタに冷や汗ばかりの「レイジング・ブル」に「ブロンクス物語」での存在感も良かった。

首を長くして待ったスコセッシ×デ・ニーロの最強タッグが最高の映画を最良なキャストで、ディカプリオではまだまだデ・ニーロの代わりにスコセッシとのタッグが務まらないことを証明したそんなヤング・ニコルソン的なディカプリオでは無くて、J・ニコルソン主演「ホッファ」も大事な作品になってくる感じ。

スコセッシの元に久々、帰還したデ・ニーロとJ・ペシ、H・カイテルってな同窓生。

そんな主役、デ・ニーロが連れて来た親友A・パチーノって転校生がこれ以上をもっとこれ以上な高みに。

それを指くわえて見ているしかない何代も下なディカプリオって図!?

本作「アイリッシュマン」には繋がっている事柄が沢山ある一筋縄ではいかない傑作に涙、涙、、で感無量。

万年 東一
2019年12月1日

同感です。本作は劇場で観たかったですが…間に合わず😥

『鬼丸』の死去は、アタシも刺激受けた人間なので、まじショックでしたわ🙏

NIRVANA