劇場公開日 2017年4月8日

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「Choose Life」T2 トレインスポッティング SICK BOYさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0Choose Life

2017年5月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

キャスト・物語 ・音楽・映像 全てにおいて最高でした!

はじめに前作(T1)はだいぶ前にDVDで観て、リアルタイムでは見ていませんし、その当時の社会的な雰囲気も知りません。

ですが、前作ではカッコいい表紙、スタイリッシュな映像と音楽、ストーリーには大きな刺激を受けました。

今作は20年という月日が経っており 俳優達も中年になっています。

そこでレントン達はちゃんとそこに生きている!と思えてなんか嬉しかったですw

しかし、レントン,シックボーイ,スパッド,ベグビーの4人は 昔と変わらず成長もできていない。薬物、失業、盗みに刑務所。いわば時代に置いてかれた大人となっている。元カノは弁護士できちんとした人生を送っている。

そして、彼らなりに後悔もしていて どうにかして今を生きてやろうと一生懸命に良くなろうとするが上手くいかず…そんな姿だけでも何故かジーンときました。

ストーリーは 続編でこれ以上はないと思うほど良かったです! 前作から多くを引き継ぎつつ 新しい要素もあり絶妙なバランスで 理想的に仕上がっていると思います!

キャラクターは メインキャラの4人の描写が抜け目なく充分に描かれてました。何故今の状態になったのか?その問いに明確に言葉と描写で観客に伝えています。
それにプラスして今作は前作で描かれなかった子供時代や青春時代の過去も掘り下げていて一層にキャラクターの厚みが出ていました。

映像と音楽は 個人的に今まで見た映画の中で1番好きです。映像はスタイリッシュでアート的で どの場面を切り取っても良い絵になると思います。
独特の魅せ方と最高にイカす音楽! イギーポップやUnderworldなど前作のアーティストに加え映画の舞台のエディンバラ出身のYoung Fathersというアーティストの新たな要素が加る事で最高にポップでオーサムな音楽に仕上がってます!勿論サントラは買いです。

読みとりとしては、
"Choose Life"
本当に自分が人生をコントロールしているか?
トレインスポッティングでは薬物に依存していた。私達ではSNSに依存し、知らなくてもいい情報を見て、必要無いモノを広告をみて知らずに買わされている。 インスタもtwitterもブランドの服も車も結局皆、依存している。
だけど、どうせ依存するなら自分が心から必要とする好きな物がいい。人生を豊かにする様なものがいい。選択肢がある内に…

トレインスポッティングでおける"薬物" は主人公達の人生における障害物的なもので、 人によって"依存"するモノは違う。それは本当に自分が選んだものか。

中盤でレントンがベロニカに皮肉や後悔を交えた言葉を浴びせる(choose lifeから始まるシーン)。それは観てる自分にもワンパン食らった気分になりました。
この感覚は「ファイトクラブ」で感じたものに似ていて、現状の自分を否定されて「このままでいいのか?」「目を覚ませ!」と思わせられて不安になる感じです。そんな刺激もありました。

加えて感動もありました。
青春時代の思い出が時よりフラッシュバックして「あの頃は楽しかった」「あの頃こうしていれば…」の様に キャストもそのまま歳を取っているおかげでそこに大きなノスタルジックが生まれて キャラクター達に感情移入でき感動しました。
特にスパッドが思い出すシーンはどれもジーンと来ました。

ラストは次の世代に良い方向に繋いでいく。
物語の着地としては一番ベストであったと思います。

今作は本当に刺激的でノスタルジックに浸れて笑えて おまけにオシャレでカッコいい最高な映画でした。

若い内にこの作品に出会えて良かったと思います。ありがとうございました。

SICK BOY