劇場公開日 2017年9月29日

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「「ライトスタッフ」同様、人間の尊厳を問う作品ではあるが…」ドリーム KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「ライトスタッフ」同様、人間の尊厳を問う作品ではあるが…

2022年3月22日
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この作品、鑑賞経験のある方のほとんどは、
かつての名作「ライトスタッフ」を
思い浮かべたのではないか。

「ライトスタッフ」が
フロンティアにおける、資質の面からの
人間の尊厳を問う作品とすれぱ、
「ドリーム」はそれ以前に、
人種や性別に係わる偏見の面から
人間の尊厳を問う作品なのかも知れない。

この作品では、キング牧師の暗殺前の時代の
米国における人種差別の実態を
突き付けられる。
米国の英知を集約していたかに見える
あのNASAでさえ
まだまだ人種差別や偏見の慣習の中にいた
ことが描かれる。

そんな環境の中で
三人の女性主人公が、人種差別や男女格差を
乗り越えていくストーリーは感動的だ。

しかし、映画にはエンターテイメント作品
としての
ある程度のデフォルメ性は必要不可欠だが、

この作品で残念なのは、
例えば、NASAのIBM室に黒人女性スタッフが
大挙して行進して向かうシーンや
研究本部長が
トイレの看板をバールで壊す設定など、
過度な演劇的演出が幾つか見られることだ。
キャサリンの着水座標計算が
確認出来たとして、グレンが礼を言って
ロケットに乗り込むシーンも
リアリティを欠いた過剰な演出に思える。
作為感を観客に抱かせないのも
演出力の大切な要素ではないだろうか。

テーマは異なるものの、
同じマーキュリー計画を背景としての、
より深い感動作として、
まだ未見の皆様には「ライトスタッフ」を
是非お薦めしたい、
私も再鑑賞の想いが強まったので。

因みに、立花隆の著書「宇宙からの帰還」では
マーキュリー7の中でキャサリンに接点が
あったと描かれるジョン・グレンが、
実業界入りしたり
信仰に目覚めた宇宙飛行士が多かった中で、
ケネディ家に近い数少ない政界入りした人物
として紹介されています。

KENZO一級建築士事務所