劇場公開日 2017年3月11日

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「悪魔はすべての人の心に宿る。。。よね?」哭声 コクソン Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5悪魔はすべての人の心に宿る。。。よね?

2024年4月16日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

難しい

2016年公開とのことだが、もっと昔のような気がする。悪い意味ではなく、本作は私にとって、サスペンス・ホラーのひとつの基準線になっているからだ。

無責任な個人の意見なので、ぜひ寛大な気持ちで読んでいただきたいのだが、
昨今のサスペンス・ホラー作品の共通項として、和洋問わず、″音″ のチカラを最大限活かそうとする演出が多くて、かなり食傷気味になっている自分がいる。

暗闇でそっと背中から近付いてきて、突然、大声で「わっ!」と嚇かすようなヤツだ。
映画館で鑑賞するときは、スピーカーのポテンシャルを最大限に使って恐怖を煽る。
ズルいな、と思う。驚いて当然だ。

本作にはそれがない。
展開で引っ張っていき、映像と演者の力で恐怖を作り上げている。

韓国の片田舎で警察官を務めているジョング(クァク・ドウォン)は、相次いで発生する怪事件に、日本から移住してきた男(國村隼)が関与しているのではないかと疑い始める。
その矢先、小学生であるジョングの愛娘にも異変が起こり、ジョングは藁にもすがる思いで悪魔祓いの祈祷師(ファン・ジョンミン)の力を借りることにする。。。

このほかにも、

白い服を着た謎のオンナ(チョン・ウヒ)
日本語ができる牧師見習?のイサム(キム・ドユン)

などが登場し、観客を引き込んでゆく。

韓国にはキリスト教信者が多く、その一方で、仏教も古くから根付いている。
本作は冒頭から聖書の一節が引用されたり、民間信仰的な悪魔祓いの儀式があったり、日本人の私には100%咀嚼するのは困難なのかもしれない。

本作をどう解釈するか、多数のサイトで論じられているので興味ある方はそちらをご覧いただきたい。
個人的には、この方の分析に圧倒されました。
ttps://note.com/maycrow_nte/n/n09c855036913

解釈やラストシーンの暗示する内容が論じられる映画って、いくつかありますが、本作についても、それくらい(解釈を明確化したいくらい)気になるってことですよね。なかなかスゴくないですか?(笑)

映画全体を覆う悲劇の空気感、
國村隼さんの好演ぶり、
最後の最後まで引っ張ってくれたストーリー、

それらに対して敬意を表し、アジア版『エクソシスト』の称号を贈るとともに、☆4.5を捧げるものです。

Haihai