劇場公開日 2017年5月13日

  • 予告編を見る

「この世に悪のある限り、正義の怒りが俺を呼ぶ」破裏拳ポリマー Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5この世に悪のある限り、正義の怒りが俺を呼ぶ

2017年6月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

この世に悪のある限り、正義の怒りが俺を呼ぶ。

1974年に放送された同名のテレビアニメ版を原作として、タツノコプロ創立55周年記念ということで企画、溝端淳平主演のアクションヒーロー実写作品である。

タツノコプロは、漫画家の吉田竜夫を中心に3兄弟で創業したアニメ制作会社。原作マンガに依らないオリジナルアニメの名作を多く残しているが、現在は日本テレビグループの一制作会社である。

タツノコプロのヒーローシリーズの映画化としては、「科学忍者隊ガッチャマン」(放送:1972~1974/実写版:2013)、「新造人間キャシャーン」(放送:1973~1974/実写版:2004)に続く、3作目になる。同社の一時代を築いた代表作のひとつである。

ほかの映画化作品には、桜井翔主演で大ヒットした「ヤッターマン」(放送:1977~1979/実写版:2009)。また、「マッハGoGoGo」(放送:1967~1968)を原作とした、ウォシャウスキー兄弟の興行失敗作である、ハリウッド実写版「スピード・レーサー」(2008)等もがあるが、アタリハズレが大きすぎる。

そもそも"ガッチャマン"の失敗が痛かったが、本作は、制作費が小さいながら頑張っているほうだと思う。タツノコプロは名作の版権を多く所有しているので、予算とプロデューサーのセンス次第で、時代に合ったリブートが可能だ。

さて、「破裏拳ポリマー」は、特殊装甲スーツ"ポリマーシステム"を身に着けた主人公が最強の力を手に入れ、ヒーローになる。実写化にあたって、このポリマースーツのデザインがキモだが、"アイアンマン"や2000年以降のヒーロー要素を取り入れつつも、顔の見えるハーフフェイスのヘルメットが特徴なので、溝端淳平でよかった。

アニメ放送の前年に、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」(1973)がヒットして空前のカンフーブームが巻き起こり、その影響を受けているので、アニメの鎧武士(よろいたけし)は、顔や掛け声もブルースに似ていた。そこで溝端淳平は役作りにあたって、カンフーアクションを特訓。顔が見えるので、スーツアクターによるスタントを使っていない。

監督は、自身もアクション俳優として米国で日本の戦隊シリーズを北米ローカライズした「パワーレンジャー」などに参加した坂本浩一だ。その"パワーレンジャー"は、今年、ハリウッド実写化されて逆輸入される(2017年7月15日公開)。

坂本監督は、敵組織にパルクールを仕込み、ポリマーにはアイアンマン+カンフーのカッコ良さを目指している。その心意気を評価したい。

ここからは、見る側の想像力のダイナミックレンジの問題だ。要するにイマジネーションが豊かか、オリジナルアニメにノスタルジーを持っているか、そういう限定的な人にしか薦められない。

かくゆう自分も、ドニー・イェンのイップマンを見たあとには、本物のカンフースターに、ポリマースーツを来てもらえたら・・・などと考えてしまうが。自分にとってはいい作品だ

(2017/5/28 /新宿バルト9/ビスタ)

Naguy