パターソンのレビュー・感想・評価
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あんな風に暮らしたい
ジム・ジャームッシュ、あらためてつくづく好きだとおもった。映画監督のなかで一番好きだ。趣味がよすぎる。こんな粋な才能をリアルタイムで見ることができて幸せだ。スクリーンをずっと穏やかな気持ちで観ていた。あんな風に暮らしたい。お金で買えないものをたくさん持ってる人たち。スマホの通知音に邪魔されない生活。日々ささやかながら生み出される芸術。インド訛りのバス会社のおっさんとのやりとり。クスクスわらったり、しみじみ味わったり、幸せな時間だった。
日常
日常は美しく、そして儚い。同じ様な毎日の中にも必ず違いがあり、同じことをしていたとしても、やらなくなったりできなくなったりする時がくる。流れゆく時間に身を委ねる気持ち良さ、抗えないことに納得させられる素直さ、儚さを感じる強さ。毎日、外の世界からの語りかけがあるから、詩を書き続けるパターソン。
四半世紀前の私が高校生の時から、ジャームッシュ作品が持つ独特の雰囲気は変わらない気がします。歳を重ねた今だからこそひとつ気がついたことは、オシャレな作品なのに排他性がないこと。オシャレな作品を鑑賞した後の、置いてきぼり感がないこと。だからジャームッシュの作品はなんだか優しい空気が全体に流れているのだと改めて思いました。
日常を細やかに慈しもう
ありきたりのはずの日常は
実はその一瞬一瞬が
毎日違った色を見せている。
ありきたりの日常に
疲れきっているおいらに
この映画はそんなことを教えてくれる。
時間に追われる日々の中
肩の力を抜きふっと息をつく
そんな時間が人生には必要なんだな。
…なんて充分わかってるつもりで
できないんだよねぇ…
大昔、ミッドナイトアートシアターでストレンジャー・ザン・パラダイス...
大昔、ミッドナイトアートシアターでストレンジャー・ザン・パラダイスやダウンバイローを観て、映画通を気取ろうと高校生ながらに頑張ってた思い出が蘇りました。
通な映画の面白さはなかなか理解出来ないのは大人になっても変わりませんが、本作は退屈せずに観ることが出来ました。
でも、だから何?と言う感想を排除する事は出来ませんでした。
ありふれた、でも豊かな愛すべき日常。
なんとも愛おしい風景。
愛する女性に去られる不安がときどき顔を覗かせる。職場も街も何かが足りない。
でも大切な美しい風景。
満ち足りはしないが、かけがいがない。
そんな日々は言葉を産み、その言葉がまた日々に向かわせる。
ギリギリで、ささやかで、でもそれがきっと大きな幸せ。…重低音の効果音にやられすぎたかな…。
…あんなキュートで美しい奥さん、主人公がうらやまし。
ジム・ジャームッシュの到達点
小津安二郎、溝口健二、成瀬巳喜男等の日本映画の粋を充分消化し、それを独自のセンスで捉え、これまでのキャリアを更に深化させた美しい映像を見せてもらえた。アダム・ドライバーの演技は白眉だが、永瀬正敏の円熟した演技には目を見張るものがある。最後のカットで、それまでの映像の流れを一人でさらってしまい、見事にフィナーレに持ち込む力量には甚だ感動させられた。良い役者がまだまだ日本にも居て、その役者を国際的な作家が取り上げ、映画の新たな歴史を作り出す。この作品、今のところはジム・ジャームッシュと永瀬正敏の最高傑作だと思う。
毎日の中に潜む彩りの欠片を採取していくある男の日常映画
ある男のある一週間をありのままに描いた本作はそのなんの変哲もない一週間を彩り豊かに、情緒的に魅せてくれる
時にユーモアに溢れ、時に感傷的に浸り、時に些細な発見に出くわす、その出来事を主人公パターソンが詩として書き留めていくことでまた日常に新しい”色”が追加されていく
本来映画には自分が中々経験出来ないまのを求め足を運ぶがこの映画は何気なく過ごす日々にも、たとえ書き留めるノートがなかったって新たな彩りが芽生えている事に気付かせてくれる
ありきたりな反復する毎日を描いてるようでとても繊細かつセンスに富んだ映画であるなと感じた
あとヒューマントラストシネマ渋谷のこの映画の監督、ジムジャームッシュに対する愛が深いので是非
パターソンの似たような日々を1週間描くが、日々何かが違う。 彼は毎...
パターソンの似たような日々を1週間描くが、日々何かが違う。
彼は毎日同じようなことを繰り返すが、バスの運転手として乗客の話に耳を傾け、バーでは色々な人と出会う。少し変わった彼女がいる。毎日散歩に連れて行く愛犬がいる。
そして、日々詩を書く。
そんな少し違った毎日を淡々と描いているが、飽きさせないこの作品は美しく、愛おしい。
また愛犬の日々が可愛く、ずっと観ていられる。
「詩を翻訳することはレインコートを着てシャワーを浴びるようなもの。」
永瀬さんが最後に言っていた言葉をパターソンも共感していたことがとても印象に残った。
その言葉にパターソンが救われたように感じた。
淡々と映し出されるバスの運転手パターソンの日常。 そんな普通の日常...
淡々と映し出されるバスの運転手パターソンの日常。
そんな普通の日常生活や、それを送る人々、その舞台となる街、
偉大な詩人やそうでもない詩人へのラブレターのような映画だった。
断SNSして、身の回りに眼を向けてみたいと思わせられた。家に彼氏と...
断SNSして、身の回りに眼を向けてみたいと思わせられた。家に彼氏といる時ローラくらい可愛くいられたらいいなとおもった。というか可愛くいてあげたいと思った。とにかく雑音が少なくて、毎日急いで生きてる人が観たら、こんな一週間の過ごし方があるんだと、ハッとするんじゃないかな
これの前に観たレッドタートルにも連なる、毎日を重ねる愛の映画。
後からジワジワ
見終わった後、穏やかな気持ちになり、それで終わりかなと思っていたら、翌朝、なんだか、それだけじゃないなと思えてきた。
パターソンは、平凡な男?受け身だし、一見、単調な毎日。でも、彼の頭の中では、詩が生まれてる。それは、とてもエキサイティングなことなんじゃないかな。
彼の生活に憧れるのは、アーティストであり、彼が自分と他人を信じて、日々を慈しみながら生活してるから。
多分、自分に満足している人は、何が起きても誇張しないし、誰かの所為にしたりしないし、責めない。
携帯がなくても誰かが貸してくれるし、犬にノートを噛まれても、誰かがノートをプレゼントしてくれる。
スーパーヒーローにならなくても、詩を作ることで高揚感が得られるなんて、何て素敵なんだろう。
ささいな日常が愛おしく切ない。
ニュージャージー州の田舎町パターソンで、路線バスの運転手のパターソンと言う男が、毎朝6時半に目覚め規則正しくさして変わりのない毎日を繰り返す…
それはまるでデジャブを見ているかのようで、時おり現れる双子達が観る者を困惑させる。
しかしそんな変わらぬ毎日だからこそ、ささいな出来事が愛おしく切ない。
自信の美学を貫くジャームッシュだからこそ撮れる唯一無二の作品。
#アダム・ドライバーはこう言う作品が似合う。
#わんぱくブルw
あんな奥さんいたら幸せでしょう
パターソンに住むパターソンさんの1週間。
これは何というか奇妙な映画。淡々といつもと代わり映えしない日常を映しながら説明しにくい心の揺らぎが何時しか波打っている、とでもいうか。大仰ではないからこそじんわりと伝わるメッセージ。詩の響きが心地好かったです。
あとサウンドトラックも良くて。絶妙に抑えた音響系みたいなの。散歩中に聴きたい。
何気ない日常に見せておいて
街と同じ名前の人間が、毎日同じ時刻に目が覚め、同じバスを運転し、犬の散歩の途中でバーに寄る日常。
それは平穏そうでいて何か不穏。書き綴られる誰にも読まれない詩、何度も見かける何組もの双子、カントリー歌手を目指すちょっと素直そうでいながら奇抜な彼女、何かのフラグか?と思わせる人間たちとの出会い、、、。
退屈というよりも、ほっこりというよりも、どこかざわつくのはなぜ?
ア~ハン?
・・・そっちよりも、終始ガサガサとビニールの音を立て続けて平気な客と、寒すぎる空調、そっちの方を解決してしてほしいわ。
毎日は「似ていること」の連続
ジム・ジャームッシュ監督の作品は恥ずかしながらこれまで一度も見たことがなく、本作が初ジャームッシュでした。
何気ない日常を幸せに暮らすのに、ワクワクやドキドキは必要ないのかもしれない。と考えさせられる作品でした。
普段、私は毎日同じように過ぎて行く毎日どこか物足りなさを感じつつも、行動を起こすこともせずダラダラと過ごしています。
そして、おそらくそんな人が世の中の大半だと思います。
そんな毎日に嫌気がさして、つい刺激的なことを求めて旅行に出かけたり、簡単なことでは映画を観たりしてその退屈さを紛らわしているはずです。
しかし、本作では本当に何も起こらない。ただ、パターソンの1週間を切り取っただけ。本来であれば退屈でつまらない作品となるであろうはずですが、なぜか心地よく、また来週のパターソンを観ていたいと思わせる作品でした。
それは、特に多忙な現代社会の人々にとっては忘れかけていた、しかし、誰しも心に憧れるまったりとした生活を、パターソンを通してきっちりと描き出していたからでしょう。
毎日のルーチンの中に、本人は何気なくても、はたからみると、たくさんの幸せが転がっているのだと思います。
朝6時過ぎに目が覚め、綺麗な奥さんにキスをし、猫背でシリアルを食べ、陽が当たる道を出社し、バスの中で詩を書き、同僚と話し、仕事をこなし、昼は滝を見ながらサンドウィッチを食べ、夕方帰宅すると奥さんと談笑をして、マーヴィンの散歩をして、ビールを飲み帰宅する。
全てが幸せに見えます。それはきっと、アダム・ドライバーの笑顔のせいかもしれないし、詩という多くの人にとって馴染みが薄いであろう芸術を媒介することで、自分たちの生活とは違う幸福感を感じさせるようになっているのかもしれない。
しかし、そんな幸せは誰もが持っていて、みんな「似ている」のだとこの作品は伝えているのではないでしょうか。
毎日のルーチンはもちろん似たことの繰り返し。似ている双子や、詩の韻を踏むとは似ている言葉を繰り返すこと、パターソンと奥さんもどこかで似通っており、少女の詩で出てくる「落ちる水」とパターソンが眺める滝の関係。ウィリアムズを好きなパターソンに似たような日本人。
この作品には似ているものが、同じようなものがたくさん出てきます。
日々の暮らしは誰しも似たようなことの繰り返し。しかし、そこには自分では気づけない幸せが転がっているのかもしれません。
マーヴィンのポストの件や、夕食のパイを食べた後ゴクゴク水を飲むパターソンなど、微笑ましい日常がきちんと描かれていて、多幸感に包まれた一作だと思いました。
評価が星3なのは、結局私はこんなものよりドンパチを観たいという、あてにならない評価なので、小さな幸せを愛でることができる人であれば誰しも楽しめる一作だと思います。
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