「桜良の無理やりな明るさが気持ち悪い名作」君の膵臓をたべたい(2017) KAMEN 7171さんの映画レビュー(感想・評価)
桜良の無理やりな明るさが気持ち悪い名作
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何度目の鑑賞だろうか。
桜良の明るさが気持ち悪いのです。 何度見ても。 いい意味で。
わざとらしく明るく振舞えば振舞うほど、死への恐怖、怒り、嘆きが聞こえてくる。
損得感情さえ湧いているのがわかる。
理屈ではわかっている。感情を理屈で抑え込んでも無理なのもわかっている。
もう何度も泣いて苦しんで悲しんで涙さえ出てこない。
そんな時期はとうに過ぎて達観したはずなのに何度でもぶり返す。
その心の叫びを振舞いの明るさで抑え込んでいる心の窮屈さが見え隠れする。
せめて自分の残り僅かな人生に人生経験を詰め込んで意味のあるものにしたい。
生きた証を残して意味のあるものにしたい。
他人に自分が生きていたという証を認めてもらいたい。
それを真っ向否定するように、他人を必要とせず完全体として見える春樹。強い。
だから春樹のまるですべてに達観しているような落ち着きに興味を持った。
どのようにすれば、どのような考え方をすれば、そこにたどり着けるのだろうか?
余裕はない。心にも時間にも。
春樹へ罪悪感を感じながらも、春樹は唯一、自分の弱さを吐き出せる場として、
それを全て受け止めてくれる器の人と見込んだ。救ってくれる人と見込んでしがみついた。
死への砂時計の砂は刻々と落ちて行く。
桜良の発する言葉の裏に現わされた恐怖、怒り、嘆き、焦りの叫び。
奇跡が欲しい、でも、そんなものは無い。理屈で抑え込んでも感情が反発する。
気持ち悪い明るさと強さから醸し出される本音の弱さ。
その裏心の気持ち悪さを体現している浜辺美波の演技力が凄いのですね。
実は演技力ではないかもしれない。彼女の才能なのかもしれない。
この気持ち悪い明るさを出せた浜辺美波がこの映画をヒットさせたと言っても過言ではない。
もちろん、映画は監督のモノではあるが。
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