劇場公開日 2017年5月26日

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「結婚とは、ある意味想定外の事故」光をくれた人 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0結婚とは、ある意味想定外の事故

2019年2月14日
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鑑賞方法:DVD/BD

異質なもの、人生の予定になかったもの、避けていたもの。ところがそのただ中に何故だかはまってしまうもの。そのアクシデントが「結婚」。
-DNAの恐るべき企みです。

生まれも育ちも趣味も理想も、そして今後の人生の計画からして全く異なる二人が何故か引き合ってしまう。
男と女という性別さえ違うのに!、磁石のプラスとマイナスのようになぜ男女は一体になろうとしてしまうのだろう。

トムがピクニックであっけなく落ちていくシーンに
「ちょっとトム?あんたそれで本当に良いの?」と慌ててしまった僕です。

トムもイザベラも一緒に暮らして上手くいくはずがない。
そもそも他者は体内に侵入しようとしてくる"異物"なんですから。拒絶のアレルギー反応が起こるのは当然と言えば当然だと思います。

成田離婚はアナフィラキシーってわけね。
てことは、免疫抑制剤が「愛」ということになるのかな・・・

別に舞台はヤヌス島でなくても良かった。
結婚は、誰も助けてはくれない孤島(=あなたのお家)での二人のサバイバル。アクシデントの後処理、終わることのない後始末。
-そう語っている作品ではないかなと思いました。
アウトドア派の二人ならそんなサバイバルも楽しいだろうが、文系の二人ならそれは苦役でしかない、というような。

結局、あの時、妻(イザベル)に首を縦に振ったことは果たして正しかったのか、他の道は自分にはなかったのか
孤島で、留置場で、自らと連れ合いの人生を省みる、
それが夫(トム)の人生。
対して最後の最後まで自分の満足しか頭にない妻(イザベル)の人生。通じ合えなかった妻。
それが映画の結末でした。

ヤヌス神の、決して向き合うこともなく、同じ方向を見る日も永遠に来ない2つの顔、
それが男・女が一体になるということなんですよ・・・
そんなふうに考えながら観ましたね。
ヤヌス島で起こった事件はデジャヴ感ありありでした。

よってこの映画はラブロマンスではなくローマ神話の悲劇的ロールプレイなのだと僕は思わされました。

「赦し」も、なんだかなー、「諦め・自己満足」にも見えて他者との関係性が希薄に見える。赦さないほうが本当の自分なんじゃないの?

トムも性懲りもなくルーシー=グレースや孫に会いたがるとはね。戦争でやはり壊れてしまってたか・・・
あまり責められないですけどね、僕に似ているもので。

きりん