劇場公開日 2017年8月26日

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「原田眞人監督の強い拘りに思うこと。」関ヶ原 sophia703さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5原田眞人監督の強い拘りに思うこと。

2017年9月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

難しい

事前に司馬遼太郎の原作を3読。
他にも関ヶ原合戦周辺の小説と学術書を改めて数冊読破し、
8月に美濃・関ヶ原を訪ねて、合戦の地の音と風と広がりを感じ
地図を片手に東西両軍の諸陣地跡を踏破して、
しかと記憶に留めておいてから、いざ映画館へ!!
歴史、大好き。予習は、完璧(^_^)v。
結果の149分は、実に面白かった!!息つく暇もなし。
原田眞人監督、これだけ拘りつつ、思う存分作られたのですから、
ご本懐というものでしょう…。

さて、まず【良かったところ】

平岳大の島左近!!あの侠気と優しさ、剛勇ぶりには、惚れました(#^.^#)。

怒涛のような合戦場面のリアリティ。あの場面を見るためだけでも、観賞の価値はあります。
ただ、局所での激闘は伝わっても、全体の戦局が見えない。
多少の説明や図解は必要かと。

細部に亘る監督の拘り。誰にわからなくとも、「自分のために」こうしなければ気が済まない…という気迫が至るところに感じられます。
こうして完成した、待望の『正統派本格時代劇映画』でした(*^^*)。

【残念ポイント】

原作にはない、「原田監督が創作した全ての部分」が、実にわかりにくいし、時に不要と思われる点。
原作とは乖離した「伊賀者」の暗闘ぶり、小早川秀秋の人物像(石田三成とは、何が通じ合っていた?)、
初芽との出逢いと別れの場面、島左近の最期 などなど…。
「初芽」に至っては、私は司馬氏の原作の中でさえ、不要な存在だと思っています。
柳生家仕官のエピソード挿入や、直江兼続登場の必要性にも、疑問符。

三献茶のエピソードの部分だけ、突然幼少の司馬遼太郎(ほぼ現代)を
わざわざ登場させた意味が不明。

監督の構想の中では、主人公が「島左近」⇒「小早川秀秋」⇒「島津義弘」と変遷したとのことで
各人物への思い入れが特に感じられる構成ではありましたが
結局、平岳大の好演もあり、人物が鮮やかに浮き彫りになった島左近以外の
小早川秀秋、島津義久の2人は、どちらも中途半端にしか描き切れていません。

J事務所のタレントを主演にもってきた業としか思えないけれど
公式サイトは別として、他メディア(映画.comも然り)において
石田三成=岡田准一の顔を一切出させない徹底ぶりは、あまりにも不自然。
作品として、主演俳優の顔を出せない宣伝記事や広告なんて、あり得るのでしょうか???

言いたいコト言ってしまいましたが、監督の思いに、
「私としては」血沸き肉躍る149分でしたよ。

sophia703