劇場公開日 2017年8月26日

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「迫力の合戦は一見の価値あり」関ヶ原 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0迫力の合戦は一見の価値あり

2017年9月7日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

日本映画では久々の大作と言えるのでは。
実に見応えある一作だったと思う。

「日本のいちばん長い日」もそうだったが、歴史を知っていることが前提の映画。
状況説明は排除され、台詞は理解し辛いので、観る側の力量を要求する。

前半は、三成が打倒家康に動いていく過程を緊張感もって描いているが、横糸にラブストーリーを織り込んでいる割には三成の人物に迫りきれていない。
登場人物が多いのでやむを得ないが。

後半の合戦は迫力とリアリティーがあり、誰をも引き込むだろう。
元々これを描きたかったのだから、もっと合戦に集中させた方が面白かったのかもしれない。
島左近が家康を討つには機を逸してしまっていると思っていること、大谷刑部が家康との戦を強く反対したこと、北の政所の小早川秀秋への影響力、などが描かれていれば、合戦の場での人物模様がもっと感動的だったのではないだろうか。

役所広司の家康は迫力があり、イヤミも充分。
あの体は特殊メイクなのだろうか?

驚いたのは、大根役者だと思っていた東出昌大演じる小早川秀秋が、松尾山で遂に寝返る場面でだ。
家康に飲み込まれていくことに抵抗しつつも抗えない極限状態を全身で演じている。

島左近と柳生との関係が中途半端に描かれていて、もったいない。
編集で切られたか?
ならば、柳生の場面は時間の無駄だった。

初芽を策略で送り込まれた間者ではなく、三成が惚れ込んで囲うという関係にしたのはよかった。
冒頭の三条河原での初芽登場場面は、いきなり感動的だった。

流行りの前後編などにせず、一本にまとめたことは評価できる。
脚色はかなりの大仕事だったと思う。
台詞が聞き取れなくても、役者の演技の迫力で押し切った感じだ。

kazz