劇場公開日 2017年6月17日

「ホラーつかい…?」こどもつかい 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ホラーつかい…?

2018年1月14日
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鑑賞方法:DVD/BD

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寝られる

清水崇が日本で長編ホラーを手掛けるのは2011年の『ラビット・ホラー』以来という事が意外。いつもちょくちょく作ってる気がしたので。
確かに近作を調べてみると、ハリウッドで手掛けたり、4DXの短編手掛けたり、まさかのファンタジー手掛けたり。
久々に腕の見せ所。

ズバリ言っちゃうと、微妙だった。この監督の良い点悪い点が良くも悪くも出たかな、と。
まず、怖くはない。大人が子供たちの霊に襲われるシーンなどはそれなりだったが、怖いかと問われたら…。
そもそも本作は、ホラーなのか…? ダーク・ファンタジー? それともコメディ?
この何とも言えぬ作風は『ラビット・ホラー』を彷彿。
清水監督と言えば、他の監督なら普通は見せない“存在”をバンバン見せちゃう演出。『呪怨』の伽椰子さん&俊雄くん然り、『ラビット・ホラー』のウサギ然り。本作でも7人の子供の霊を操る謎の怪人“こどもつかい”が昼間の保育園のジャングルジムの上に現れます。
ま、この監督の特徴だから、いいとか悪いとか言えないんだけどね。
でも、それら以上に気になった事がある。

幼児虐待という社会的問題を題材にしている。
それはいい。いいのだ。題材だけは。
題材がいいからと言って、作品が素晴らしいものになるとは限らない。
話がねぇ…。
門脇麦演じるヒロインの悲しい過去。“こどもつかい”の正体。一連の奇っ怪な事件の発端であるその昔とあるサーカスで起きた事件。…
それなりに話に面白味や惹き付けられるものを感じたのは最初だけ。中盤~後半はジャパニーズ・ホラーの宿命、迷走&失速&グダグダ…。
いい題材の前に、作品を面白くしなければ意味が無いのである。

“こどもつかい”を演じるは、意外にも本作が映画初主演となる滝沢秀明。白塗りメイク&奇抜な衣装で奇妙な怪人を怪演。
と言うか、本作がホラーなのかダーク・ファンタジーなのかコメディなのか何とも言えなくしてるのは、全てのこのキャラのせい。
時々失笑モンだったり、妙に浮いてたり感じるが、何故か不思議とだんだんこのキャラが面白くなってくる。見終わった時には、嫌いじゃなくなってた。
映画初主演に恋愛モノじゃなく風変わりな役を選んだ滝沢クンのチョイスもユニーク。

“こどもつかい”はあくまで作品を色付けするキャラであって、実質話の主役は有岡大貴と門脇麦。
門脇麦が居て良かった。もし彼女が居なかったら悲惨だったろう。
それくらい、有岡の演技が酷いッ! 本当にナシ岡だよ! 他のレビューでは巧い!という声が多いが、本当に良かったか…??
門脇麦は若手実力派と言われるだけあって、自身も虐待された過去を持ち、あるトラウマに苦しむヒロインの悲しみを演じていた。本当に彼女のお陰で、多少ドラマとして見れるものがあった。
門脇麦は凄い美人じゃないけど、不思議な魅力を持つ女優だよね。
それから、オバサンじゃないよ~!

“こどもつかい”は何者か…?
子供を親を惑わす者…?
それとも、子供と親の愛情を気付かせる使者…?
でも、それより、

清水崇って本当にホラーつかい…?

近大