劇場公開日 2017年8月26日

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「砂上の楼閣」幼な子われらに生まれ たろっぺさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0砂上の楼閣

2017年9月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

建造物や小物で心象や状況を丁寧に表現するも、画面に目新しさや美しさは感じなかった。
また呼吸音の表現は胸にくるも、その後の展開はあっさりしており潔くも虚しい。
浅野氏は伸び伸びと演ずる事が許されぬキャラクターの為、要所要所で光るものの不完全燃焼に思えた。
それに反比例してクドカンの切なさを滲ませる表情や仕草には、なんだかんだで根は良い奴と騙されかねない程のハマり具合だった。
また末尾での恵理子ちゃんが分娩室に耳を当てるシーンにて、母の苦痛の声も聞きながら不安の表情が一切無いのは台本の所為もあるが、新井美羽ちゃんももう少し感じ考えて演じて頂きたく思う。

友佳の回想だけを見ると、相手の気持ちを考えた発言や行動をしていないのは寧ろ彼女の方に思え、車内での説教が空回りに写った。
その為、田中のモラルのズレが徐々に現れる展開が恐らく監督の意図以上に不気味に感じ、彼に対する不信感が最後まで晴れず、言葉や行動に裏がないかと勘繰らなければならなかった。
それから薫ちゃんの決断を前向きに捉える事が出来るだけの家族の連帯に対する直接的な描写が少ない為、本当にこれで事態が好転していくのかと不安が拭えなかった。

新たな命が家族を真に繋ぎ、杞憂に終わる事を祈る。

たろっぺ