「ブニュエルの皮肉に消化不良だったかも…」小間使いの日記 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ブニュエルの皮肉に消化不良だったかも…

2021年6月13日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ルイス・ブニュエル作品は若い頃に
「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」等々
随分と観ていたが、この作品のことは、
1984年のリバイバル上映時に
映画館で観ていたこと自体を
忘れており、自宅てパンフレットを発見して
再鑑賞であることを確認した。

従って、内容については全く忘却の彼方
だった訳だが、前半で、
“右翼勢力+宗教界 VS 左翼勢力+ユダヤ民族”
の世相的な構図が語られ、そこに、
”ブルジョワ VS 平民”の階層問題が加わった
社会勢力間抗争の展開かと思いつつも、
途中からは、少女を殺したのは、
庭師なのか、女好きの夫なのか、
はたまた神父なのか、とのサスペンス風展開
にすっかり欺されてしまった。

最後には、少女の復讐を遂げて
ブルジョワ階級に上り詰めたヒロインが、
復讐を果たしたはずの庭師の社会変革勢力に
いずれは淘汰されるであろうとの
皮肉な将来を予感させてのエンディングが
ブニュエル風なんだろうな、と思いつつも、
皮肉のスパイスが効き過ぎて、
私には消化不良的な作品だった。
やはり私はオーソドックスな味付けの作品
の方が好みかも。

KENZO一級建築士事務所