「中途半端なこころざしでテキトーに作られたどうでもいい実話ドラマ」チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0中途半端なこころざしでテキトーに作られたどうでもいい実話ドラマ

2020年5月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

舞台は福井県立福井商業高校。新入生のひかりは幼馴染のサッカー少年孝介を応援したいとヤンキー女子の溜まり場となっているチアダンス部への入部を希望する。同じく入部したのはチア経験者で意識の高い彩乃、ヒップホップダンサーの唯、バレリーナの麗華、アイドルダンスのあゆみ、ドンくさそうなルックスに反してキレッキレのダンスを見せる恵子といった個性的なメンバー。彼女達の前に現れたのは顧問の早乙女。彼女はいきなり全米大会制覇を掲げスパルタ指導を開始する。

観る前からそんなもんだろうとは思っていたのでダメージはないですが、これは全く観る価値がないカス。実話の映画化だそうですが、ほぼほぼ20年前に『チアーズ!』という大傑作があるのにその足元にも及ばない企画を立ち上げる根性がまず理解出来ない。こんな映画ですから当然ダンスが見せ場のはずですが、これがなかなか出てこない。ボッロボロのデビュー戦はねっちり演出してるのにその後の県大会優勝はダンスシーンゼロでやったー!と大騒ぎ。この辺で大人をナメとんのか?と鼻息がスースーし始めます。個人的には柳ゆり菜が演じる思いっきりイヤな奴キャラの麗華に注目していたんですが、この子が早々に退部。普通こういうはみ出しキャラはこれはヤバイってところで「全くお前らは相変わらず鈍臭いなぁ」って照れ隠ししながら再登場するお約束があるじゃないですか、それがそのまんま最後までイヤな奴のまま・・・これって実在のモデルがいてその子への当てつけってこと?あとキャラクター描写が雑。彩乃が部長としての責任感から敢えて嫌われキャラを買って出るとか、恵子が極貧の母子家庭で母親にバイトを強制されてるとか、一応設定あるんですけどサラっと流すだけなので全然キャラが立体的にならない。というかあゆみちゃんはガン無視かよ、結構健気に頑張ってるのに。で、何より全然あかんのが全くの素人集団が全米大会に出るまでに至る秘訣は何やねん?ってのが一切描写されないこと。なんか特別なスパルタ特訓や効率的な指導みたいなのがあるわけでもなく、みんな汗まみれでハァハァ言うてるだけ・・・それは全国の部活でやってるやつやっちゅうねん。で、ずっと気になってたんやけど21世紀やのに米国大会でC+Cミュージックファクトリーがやたら流れてるのはあんまりやと思います、アメリカ人にケンカ売ってるのかな?

で、全米大会。出てくるアメリカ人達の演技が劇的にショボい。大会MCのセリフも鳥肌立つくらいダサい。この辺の設定は『ピッチ・パーフェクト』を意識してるんやろうけど、パロディでもオマージュでもなくただなんとなくパクってるだけってもう一番アカンやつや、それ。で、やっとここでまともなダンスシーンが出てくるんですけど、これが全米大会レベルなん?ってくらい凡庸。メインキャラ以外は本物の人らがやってるのでこれは完全にカメラワークのせい・・・『ピッチ・パーフェクト』からパクるならそこや、そこ!あと、とんでもなく強いライバル校が1つもないってのも全然あかんよね、『ピッチ・パーフェクト』観ながら寝てたんちゃうの、肝心なとこ飛ばしてからに。

これは何やろ、実話そのものがしょーもないのを忠実に映画化したってことなんかな。しょーもない実話なら映画化する必要ないやろって思いますけど。これは酷いよ、ホンマに酷い。実話なんかかなぐり捨てて早々に退部したヤンキーの先輩が健気な後輩に感化されて部活に戻り県大会で優勝するくらいの話でよかったと思いますよ。中途半端に実話に引っ張られるから訳分からんことになるんです。

そしてこの映画が最も禍々しいなと思ったのはダンス部の皆さんが着てるTシャツが激烈にダサいこと・・・これは完全に福井県をバカにしてかかってるやん!これは全福井県民が怒らなあかんやつです。

よね