「フリージャズとオールディーズと」機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY おかずはるさめさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0フリージャズとオールディーズと

2016年6月25日
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鑑賞方法:映画館

人類の戦闘能力を引き出す技術に先行するジオンのパイロットが聴く音楽が、フリージャズの前に流行したオールディーズというのがおもしろい。ジオン公国崩壊の予兆としても効いている。
少年の大人たちへのプロテストを描くことが多いガンダムシリーズは、中年には共感しがたいドラマが多いように感じる。
本作のテーマは、憎悪の連鎖と成就しない恋愛。ヨーロッパの戦争映画のように、すくわれなさで満ちたエピソードを積み重ねて、戦争が人生にもたらす不幸を実感させる。
菊地成孔の劇伴は最高にカッコイイ。暗い宇宙のモビルスーツ戦で鳴るフリージャズは観客を高揚させる。かつての戦場の兵士たちもそうだったのだろう。
良い映画の条件が、現実の延長を感じさせることにあるなら、この映画はまさに良作。
キャラ作画もレベルが高く、久しぶりにアニメの官能を堪能した。

おかずはるさめ