劇場公開日 2016年7月9日

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「青春を謳歌しようとしている若者たちへ」シング・ストリート 未来へのうた 森泉涼一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0青春を謳歌しようとしている若者たちへ

2016年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ジョン・カーニー監督の半自伝的映画となった本作は1980年代のダブリンを舞台にした青春音楽映画。前作「はじまりのうた」とは音楽を活かすという軸はぶれていないものの時代背景や人物像に関してはまるで正反対。だが、半自伝的という点からこの映画の描写が「はじまりのうた」や「ONCE ダブリンの街角で」につながっているのかと考えると決して見過ごせない映画となっている。

主役のコナーが親の都合で転校したのは荒れた学校。転校前と環境が180度逆転し順応できない彼に待っているのはいじめである。男らしくない者がいじめの対象になりやすいという若者ならではの差別化された社会で、どうやって音楽に目覚めたのかというのが最初のポイント。

音楽の楽しさを知ったコナーは人が変わったかのように外見から中身まで変化していく。これは捉え方によっては変化というより成長という方が正しいかもしれないが、若い世代で青春を謳歌しようとしている人たちに焦点を当てたからこそ成立しているものであり、見ているほうも感情移入しやすい。

音楽をするうえで仲間は必要不可欠な存在であり、コナーの変化に合わせるかのように集まってくる音楽仲間との楽曲製作から成る友情は青春を謳歌しているからこその賜物であるように感じられる。音楽を通して得られるものは何かというテーマを緻密に描けるジョン・カーニー監督の手腕がここに発揮されている。

森泉涼一