ウィッチのレビュー・感想・評価
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魔女の成り立ちを現代的に解釈した傑作ホラー
「魔女」と聞くとファンタジーに聞こえるかもしれませんが、今作で現実的に起こってしまった事態は「厳格な家庭の中で、娘が性的に成長してしまった話」であって、この手のストーリーは手を替え品を替え様々な映画の中で語られてきたため(「尼僧ヨアンナ」、「エクソシスト」、「ブラックスワン」など)目新しいものではないものの、キリスト教的なモチーフをストーリーに取り込みながらホラー映画としても良く出来ている点で素晴らしかったです。
それぞれのモチーフの意味は、
山羊=悪魔、男性性
うさぎ=性愛
りんご=原罪
割れた卵から血が…=トマシンの初潮
犬=忠誠心、貞節
要するに、トマシンが身体的に大人になることで、これまで均衡を保っていた家庭環境が崩れてしまう話で、その成長を理解出来ない人からしたら「彼女は魔女になってしまった」と言うしか出来なかったわけですね。
ちなみに、幼い子どもが誘拐されるのは、サバトという悪魔崇拝の集会の儀式(ラストのアレ)で子どもの肉体が必要になるから、と魔女裁判に記録されているそうです…。
主人公の女の子のトマシン(Thomasin)の名前の中に既に罪(sin)が内包されているあたりが、生まれながらにして魔女になることを運命付けられている感じを出していて良かったです。
罪とは
ヒステリックで盲目的なまでに信心深く、事あるごとに執拗なまでに神に頼り祈る人々が嫌いだ…
正直ただの雰囲気ダークホラーだと舐めてかかってたけど、ストーリーがちゃんと面白かった。
最後に何か解決やスッキリはしないが、不吉な出来事が淡々と でもテンポ良く起こって最高に気持ち悪い結末へ繋がる。
トマシンにわりと感情移入できたのも良かった。
降りかかる受難を自分のことのように感じられ、両親や双子に本気で腹が立つ。
ケイレブの絶命までの祈りのシーンとラストの魔女達による全裸キャンプファイヤー&トマシンの笑いが脳裏に焼き付いて離れない。
地獄愛でも全裸キャンプファイヤーしてたけど、狂ったように踊る人々に炎のコントラストも相まって恐怖倍増なんだよね…
視覚的な描写は抑えめだけど最低限のショッキングなシーンは写してちゃんと気持ち悪く不快で怖さを感じる。
ずっと薄暗くBGMと効果音がやたらめったら恐怖を煽るのには少し辟易とするけど。
人間の嫌なところと悪魔や魔女のオカルト的な嫌なところ どちらも堪能できて、心の重くなる展開ばかり襲ってくる映画だった。私は好き。
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