劇場公開日 2016年11月19日

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「神様のやることはわからない。」聖の青春 Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0神様のやることはわからない。

2016年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

興奮

昔テレビのドキュメンタリーで見て、
その壮絶な人生に驚いた天才棋士、
村山聖さんのお話。
彼が若干29歳で他界するまでの、
4年間が描かれている。

無骨に将棋に向き合い、
ただ羽生さんを超えるためだけに、
人生をかけた男は、切なすぎる。
いつも病弱で悔しい思いをしながら
戦ってきた聖さんは、
風貌やリアル映像では
伝わってこなかったけど、
とても不器用でピュアな人だ。

そんな人物を美談にせず
まっすぐに描いているから、
スクリーンに気持ちを共有させ、
胸が揺さぶられる。

生まれつき腎臓の難病を患った彼を、
松山ケンイチさんの20Kg増量で挑む。
心象を表現する目配せ演技はさすが。
羽生善治さん役の東出昌大さんも、
今まではイマイチな役者さんだなぁと思ってたけど、
神経質な感じをよく掴んでいた。
フランキーさんはまたもや登場ですが、
安定した役作りですな。

節々に演出や脚本の甘さもありますが、
役者たちの見応えがあるので、
良作にまとまってる感じです。

誰よりも負けず嫌いな
将棋の天才の短い人生の記録や、
生きることへの実直さを案じるだけでも、
価値ある映画ですね。
最後の二人の対局場面は、
駒を打つ音に
はちきれそうな緊張感があった。
駒に命が宿っていた。
YOUTUBEにその対局があげられていて、
改めて見ると、涙が溢れてきました。

こんなにも生きたかった人を
死なせてしまうなんて、
神様のやることはわからない。
聖さんのいうことはもっともだな。

僕たちは、
上を向いて笑顔で生きていていないと
いけないのですね。

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