劇場公開日 2016年12月16日

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「潔いレジスタンス」ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0潔いレジスタンス

2020年12月14日
PCから投稿

SWには、くわしくないが、かえりみてローグワンはたしかに傑作だった。と思う。
外伝だったこともあるのだろうが、話がとても簡潔だった。

デススターの設計図を奪取する──ただそれだけのために、よろこんで命を投げ出すレジスタンスたちだった。目的を果たしてかれらは全滅をするのだ。
明快な理念、明快な善悪、明快な崇高さ。
物語が混濁してくる近作とくらべて、とてもSWらしかった。

ところでローグワンで、もっとも、心躍ったのはドニーイェンの登場シーンではなかっただろうか。
白濁した目は見えず、感覚は音と気配だけ。武器は棍棒だけである。ストームトルーパーたちがブラスターで撃ってくるのに、俊敏にかわし、立ちまわり、ほんろうする。ものすごいかっこよさ。

かれはジェダイではなく、あるのは鍛練した心身とフォースの加護だけだった。
相棒は、対照的にがっつり武装している姜文。
「ジェダイはもういないぜ、こんなファンタジーな野郎くらいさ」
華流スターどうしのコンビが、いじりあいながらも、相手を思い遣っていた。

ローグワンがどうしようもなく傑出してしまったのは、いっしょに戦ってきた同志との悲痛が介入するからでもあった。
ジンアーソとキャシアン。
チアルートとベイズ。
銃撃のなか、われはフォースとともにありと唱えながらシールドゲイトを解除し息絶える。対価に命をともなうのがローグワンの崇高さだった。

ラストシークエンスなんか文字通りの手渡し。
ベイダー卿がみずから迫ってくるところを、かんぜんにバケツリレーをやって、めでたくレイアに届くまで、興奮のるつぼだった。
厖大な犠牲をはらって、たしかに届けられたのは希望だと感じられた。

思えば、ローグワンは、それがSWであるなしにかかわらず、狂おしいほどエピックな映画的高揚に充ちていた。

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津次郎