劇場公開日 2016年9月17日

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「小さな少女の巨(おお)きな夢」BFG ビッグ・フレンドリー・ジャイアント 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5小さな少女の巨(おお)きな夢

2016年9月18日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

ロアルド・ダール原作映画って、思えば僕はほとんど
観てない(『チャーリーとチョコレート工場』すら)。
理由は『なんとなく合わなそうな気がするから』だけだが
今回はスピルバーグ監督作品という肩書きに惹かれて鑑賞。

……したのだけど。
ううむ……残念ながら……やっぱ合わなかった。
嗚呼、僕も薄汚れた大人になってしまったのか……。
(↑ずいぶん前からじゃね)
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劇場に子ども連れのお客さんがいなかったので
ハッキリ言えないのだけど、これ、たぶん大人が
観るよりは子ども達の方が楽しめるのではないかしら。
いや別に子どもでなくても、
おならネタや妙チクリンな言葉ネタで笑えたり、
女王様のお城での暮らしや豪華な料理を夢見たり、
そういうイノセントな夢や笑いが響く人なら
この映画は最初から最後まで楽しめるのではと思う。
欧米的な笑いのセンス――例えばドロドロのスライムまみれ
になる姿で笑えるとか――をお持ちならなお良い。
いちおう舞台も現代なので(軍用ヘリが登場する
お伽噺って結構ユニーク)、観賞後、「ホントに
巨人がどこかにいるかもね」とお子さんに話すのもアリ。

巨人がロンドンの夜の闇に紛れて移動するシーン、
鏡のような水の中で蛍のように舞う“夢”を捕まえる
幻想的なシーン、そして“夢”の倉庫など、
ファンタジーらしい素敵な映像もある。

それに、終盤とかはホロリと来てしまう部分も。
独りぼっちの少女と、ちょっとワガママだけど心優しい巨人。
巨人が語るソフィーの将来の夢はとてもとても
綺麗だけれど、同時に、楽しい子どもの夢の時間も
いつかは明けてしまうという哀愁に満ちていた。
(あのタイトル文字の色も、きっと
 夜明け前の空の色だったんだね)
ラスト、ソフィーの声に静かに耳を傾ける
巨人の優しく柔らかな表情は忘れ難い。
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しかしながら……ここからが汚れつちまつた自分の意見。
この映画が好きな方は無視しちゃってくださいな。

きっと観客(特にメインターゲットだろう子ども達)を
退屈させない為だと思うのだが、ソフィーの家庭環境や孤独を
大して描かないうちにササッと巨人の国へ話が移るので、
いよいよ巨人の国へ!という興奮や
ソフィーと巨人が繋がっていく展開が弱い。特に
ソフィーの孤独を描かなかった影響は最後まで尾を引く。

そもそも巨人がソフィーを拐った理由も割とワガママなので
「あんまりフレンドリーじゃないなオイ」と思ってしまい、
スッとBFGを受け入れられなかった所もある。まあ、
お伽噺や絵本じゃザラにある展開だとも思うけど。

終盤の宮殿での長々したシーンも……まあ、ハイソな人々が
お下品で規格外サイズの巨人に戸惑う様子を笑えば
良いのだろうが、残念ながらほぼほぼ楽しめず。
巨人の国でのクライマックスも、そんなに大人の観客を
興奮させる作りも目指してないだろうし、盛り上がらず。

また全体的に、興奮や緊張は少なくのんびりした物語
ではあるので、ちょっと眠い。“夢”獲りのシーンから
倉庫での隠れんぼシーンまでは特にキツかった。

あと
・中盤のあのシーン……ちょっと戻るの早過ぎない?
 それに毎回ソフィーがあんなことしないか心配。
・悪い巨人9人衆は醜悪さが生理的にキツい。
 怖いけど憎めないキャラ……でもない。ストレートに嫌。
とかとか。
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綺麗な映像や終盤の感動シーンは良いけど、
あまりにイノセントな展開やゆったりテンポが
自分には合わず。うーむ、イマイチの2.5判定で。

<2016.09.17鑑賞>
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余談:
『DOOM』の……いや何でも無いです……。

浮遊きびなご
ゼリグさんのコメント
2016年9月23日

お久しぶりです。
以前、コメントをいただいたゼリクと申します。
やはり大人の目で見ると、浮遊きびなごさんのようなご意見になるのが普通ですよね…
僕もそこの部分に関しては、とても共感しました。
ただ一点だけ、自分のレビューにも書いた事なのですが、僕の意見としましては、ソフィーからの視点で徹底して描き、孤独=両親がいない事を前提に撮られたので、ああいった描写なのではないかと思います。
自分の意見を押し付けてしまっているような形になり、もし不快になられたなら申し訳ありません。
長文失礼いたしました。

ゼリグ