劇場公開日 2016年6月17日

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「ここまで観客を振り回す映画って…」10 クローバーフィールド・レーン MASERATIさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ここまで観客を振り回す映画って…

2017年11月5日
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鑑賞方法:DVD/BD、映画館

タイトルに「クローバーフィールド」。
観客はすかさず2008年公開の「クローバーフィールド/HAKAISHA」の続編だと認識する。しかし、劇場にてほとんどの人が困惑したのではないか。そう、本作は「続編ではない続編」なのだ。製作のJ.Jエイブラムスは「血の繋がった映画」という見解を示したが、その理由としては、「近年は続編やリメイク作品ばかりでオリジナル作品の出番が少ない。だからこそ本作はこうである必要がある」的な事だ。って、普通の人はこんなこと思いつかないだろう。やっぱり彼は天才なんだと思う。こういう形の続編は初めてだが、ストーリーも今までこの形では描かれなかったのではないか。
ストーリーの中心は、「監禁」だ。自動車事故の後に目を覚ました主人公の女性は、見知らぬ所に監禁されている。そこには男がおり、「外は攻撃されて汚染されている。危険だ。」と言う。主人公はその後不信感を抱きつつ共同生活を始める。そこにはもう1人男がおり、なんとか皆で長期に及ぶであろう「潜伏生活」をスタートさせるが…というストーリーであり、後半で怒濤の展開を迎えていく。観ているこちらとしては、いつあの怪物やポスターの宇宙船が出てくるのか、どういう繋がりがあるのか、などをハラハラしながら観つつ、次第に明かされていく謎などが恐怖感を増幅させ、不信感が恐怖に変わった瞬間に一気に堪えていた感情が爆発する。そして終盤まで来て更に驚きの展開。何なんだこの続編は。こんな映画あっていいのか。などエンドロールは放心状態に陥る。
ソリッド・シチュエーション的要素がかなり盛りだくさんだが、とにかくジョン・グッドマン演じるハワードの動きから目が離せない。優しい微笑みからの狂気じみた目付きなど怖い以外の何物でもない。本当に恐ろしかった。

本当にストーリー上の前作との繋がりは無いが、共通の設定などは存在する。

1.タグルアト社
出たタグルアト。実は軍退役後にハワードが勤めていた会社だ。多くは語られていないことも前作と共通している。 タグルアト社から発売された飲料、「スラッシオ」と似た飲み物が登場するが、これは実在するご当地飲料だそうだ。

2.事の始まり
恋人とのトラブルで、女性が男性のもとを去った後に、事の始まりとなる。

3.J.Jエイブラムス
マニアならニヤリと出来る「おまけ」的なものだが、エイブラムスの2011年の監督作品、「SUPER8/スーパーエイト」にて、最初に犠牲者の出るガソリンスタンドと同じ店名のガソリンスタンドが登場する。はっきりと映るため、「知ってる人のお楽しみ」という存在だろう。

ここまで観客を振り回す映画ってどうなのかと思うが、早速「クローバーフィールド・プロジェクト3」が今年公開される。しばらくはこのトンデモ展開に振り回されそうだ。

Mina