劇場公開日 2017年9月9日

  • 予告編を見る

「何を目的としてつくられたものか、事前事後の考察が大事」ダンケルク h.h.atsuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0何を目的としてつくられたものか、事前事後の考察が大事

2020年8月2日
iPhoneアプリから投稿

この作品をノーラン監督がどのような意図で制作したのか、事前に、そして観賞後に考察することが必要では。そうしないと、何を観ているのか全く分からなくなる可能性がある。

内容は、英国がナチスドイツと戦うために大陸に派兵したが、ドイツに追いつめられダンケルクで孤立した約33万人の英仏兵を救出する実話をベースにしている。救出には多くの民間船が「出動」し多大な貢献をしたと伝えられている。

本作は、決して戦争翼賛の作品ではなく、かといって戦争反対のテーマ設定でもない。戦争という非常事態において、この救出作戦(ダイナモ作戦)を英国と英国民はどう捉えていたかを「救出現場」を通して描かれている。

同様な状況下に日本が置かれたとき、決死の覚悟で小型船をもって海を越えて自国兵を救出にいく市民がどれだけいるだろうか。
残念ながら皆無だろう(実際、太平洋戦争時にそのような話を聞いたことはない)。日本には政治や国防を、政治家や官僚、軍人任せではなく、市民が自分ごととして捉えることができる機会が歴史的になかった点は不幸なことだと思う。

自由や民主主義を自分たちの力で守ってきた欧州の歴史を理解せずに漠然と鑑賞すると、本作は戦争を肯定するかのような見方に陥ってしまう。海外の映画(特に歴史もの)を観るうえで、制作者の意図や制作国の文化や背景を理解することが大事だとあらためて感じる。

本作はまさにノーラン監督がいう、「体験」する映画。IMAXでこそ、その意味が十二分に理解できる。

「1917」では全編ワンカット(のように作られたもの)というイノベーティブな切り口を提示していたが、本作はTriptych(もとは三連祭壇画という意味)という三つの画がバラバラで進行し最終的に組み合わせていく手法で作られている。

atsushi
みかずきさんのコメント
2022年4月14日

はじめまして。h.h.atsuさん。
みかずきです。

共感&フォローありがとうございます。

10年くらい映画レビューを書いていますが、
こちらのサイトには2月に登録したばかりです。
宜しくお願いします。

さて、本作、従来の戦争映画とは違い、祖国への生還が目的でしたので、
生きること、生き抜くことの尊さが強く感じられた作品でした。

では、また共感作で交流しましょう。

-以上-

みかずき
atsushiさんのコメント
2020年8月2日

ちゅうさん
そうですね。英国政府だけに頼っていてはいけない、英国民が団結せねば、とアプローチが違いますね。

atsushi
ちゆうさんのコメント
2020年8月2日

チャーチルという男はsirの称号をたまたまもらってはいるがこと戦争に至っては作戦ミスも多く決して誉められたような男ではない。勝ち戦の御輿に乗ってただけだと個人的には思ってます。だが、チャーチルは裕仁様のような神様ではなく、ただの人間だということ。人間はミスしますから、英国人もそれはわかっていて国民全員で御輿を担いでたんでしょう。日本人は神様頼みですからね。

ちゆう