劇場公開日 2018年2月24日

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「最期の言葉」あなたの旅立ち、綴ります 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0最期の言葉

2018年2月27日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

 アマンダ・セイフライドはミュージカル映画「レ・ミゼラブル」でとても上手な歌を披露しているのを見たのが最初だった。その後ラッセル・クロウとダブル主演した「Father and Daughter」でセックス依存症のカウンセラーという複雑な役を演じきり、和解と再生の物語を積み上げたのを見て、繊細な内面を表現できる、ハリウッドでは稀有の女優だと高く評価していた。
 本作品でもその多彩な演技力を遺憾なく発揮して、若手の物書きならさもあらんというリアリティに溢れた等身大の若い女性を演じる一方、我儘な老女を理解しようと努力する芯の強さも表現した。この強さがなければ、押しが強くて一方的な老女に潰されてしまい、作品が成立しなかっただろう。二人の間のダイナミズムがテンポよくストーリーを進めていくので気分よく鑑賞できる。
 シャーリー・マクレーンは往年の大女優というイメージが強かったが、歳を取っても現役バリバリの名女優である。自尊心と茶目っ気に溢れる困ったお婆さんを、憎めないように演じているのがなんとも素晴らしい。
 二人の女優のいずれもがこの作品に並々ならぬ愛情を注いでいることは、エグゼクティブ・プロデューサーに名を連ねていることでも明らかだ。
 「あなたの旅立ち、綴ります」という邦題がややピント外れ。直訳の「最期の言葉」でよかったのではないか。まあ、それはそれとして、制作者と出演者の思い入れのあるいい作品である。

耶馬英彦