劇場公開日 2016年6月17日

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「ことしベスト1級の面白さ!」帰ってきたヒトラー showさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ことしベスト1級の面白さ!

2016年7月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

もし現代にヒトラーが現れてコメディアンになったら…というシャレにならないドイツ映画を、TOHOシネマズシャンテにて鑑賞。

レディースディ&日比谷という土地柄もあり、おばさま中心に超満席!40代以降の男性も2割ほどいて、場内はぎゅうぎゅうでした。

これは、おもしろい!
今年ベスト1にしたいくらいに喰らいました!

この映画、ただのコメディ映画ではありません。
現代の民主主義を痛烈に批判した、とても政治的な内容を含んだ作品です。

未成熟な政治に対する批判や、芯の弱い党首に対しての怒号や、低俗なテレビ番組に対する憤りなど、
世界一の極悪人のはずなのに、彼の発する言葉の数々が、至極真っ当で関心・感銘を受けてしまうことばかり。
ただ、どこか決定的な歪みがあって、ふいに違和感を感じては「はっ!いま見惚れてたこの人、ヒトラーだった!」と恐怖します。

めっちゃくちゃな題材なので、ちょっと間違えれば興ざめしてしまう危険性があるんですが、描き方が秀逸!
要所要所でドキュメント風なカットをいれたり、
何層にも入り組んだメタ構造を取り入れたり、
この映画のフィクションラインをあやふやにしていくので、
「ここにヒトラーがいる!」と思い込ませる巧みな演出で、どんどん入り込むことができます。

ただのコメディ映画を超えた、ヒトラーという人物を通して「ドイツの今」を誠実に描いた良作なので、
公開館数も少ないようですが、是非観ていただいたい一作です。

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