劇場公開日 2016年12月17日

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「【ヒトラーの言語同断の所業が齎した、余りに哀しいドイツ少年兵に指示された過酷な業務を描いた作品。】」ヒトラーの忘れもの NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【ヒトラーの言語同断の所業が齎した、余りに哀しいドイツ少年兵に指示された過酷な業務を描いた作品。】

2023年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

ー 地雷とはいったい誰が考えたのだろうか。今でも戦闘地域に多数埋蔵されている地雷。そして、その撤去作業は過酷である。
  亡き、英国王妃であるダイアナ妃が反地雷活動に自ら取り組んでいる姿を見た時から、私は彼の方の生き方を指示した事を思い出す。-

◆感想

・今作の冒頭でデンマーク軍のラスムスン軍曹は撤退するドイツ兵に対し、厳しき行為を行う。描かれてはいないが、彼がナチスドイツに非道なる行為を受けた事が分かる。

・そして、場面は変わりデンマークの海岸が描かれる。立ち入り禁止のロープ。そこにはナチスが仕掛けた地雷が200万個!あるのである。
ー SSを主としたナチスの中心人物は戦争犯罪のために裁かれている故に、地雷撤去の作業に強制的に従事させられるのは、ドイツ軍の少年兵である。-

■地雷撤去の練習のシーンから見ている側はキツイ。手が震えて信管を上手く抜けずに自爆するシーン。

・最初は彼らに対し、厳しく接するラスムスン軍曹であるが、爆死した双子の少年兵、ヴェルナールの姿を見て、考えが変わって行く。

・だが、彼の愛犬が安全だと、ドイツ兵が言うゾーンに入って行って、地雷に触れてしまうシーンから、彼の考えは揺らいでいく。

■ドイツ軍を憎む母親の幼子が危険地域に入ってしまった時に、彼女を助けるヴェルナールの弟エルンストは、彼女を助けるがそのまま危険地域に足を運び、自爆する。

・更に、”これでドイツに帰れると明るい顔で言っていた兵たちのトラックが信管を抜き忘れた地雷があった故に、爆発するシーン。

<今先は、許されざるナチスドイツの所業を仄めかせつつ、その後処理をさせられた少年兵たちの過酷な姿を描いた哀しき作品である。
 今でも、アフガニスタンや、シリア、イラクには多数の地雷があり、それにより何の罪もない民が命を失われるか、手足を無くしているそうである。
 何とも形容し難い重い気持ちが残る、反戦映画である。>

NOBU