劇場公開日 2016年12月17日

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「父性か母性か」ヒトラーの忘れもの ミーノさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5父性か母性か

2017年5月15日
PCから投稿

泣ける

悲しい

ドイツの北に位置するデンマークは、大戦当時ナチスドイツと連合国の中間的な位置にいて、ナチスによって沿岸部に埋められた200万個もの地雷を終戦後に撤去する際、イギリス等のサポートが得られなかった。そこで地雷撤去にドイツ軍の捕虜の少年兵を使った。いくら元ナチスの少年兵といっても中学生くらいの男の子だが、デンマークの鬼軍曹は容赦なし。この男の狂気なのか、デンマーク人のナチスに対する恨みの深さがそうさせるのか。
限られた食料は少年兵には与えられず、地雷撤去に失敗して手足を吹っ飛ばされて痛みのあまり「お母さーん!」と泣き叫ぶ少年達と付き合ううちに徐々に鬼軍曹にも変化が起こる。「終わったら必ずドイツに帰す」と約束し、国の復興に寄与することを楽しみにする少年達だったが、軍曹の態度の変化に軍の上層部が感づいて「情が芽生えたのか」と詰め寄る。
70年間以上も私達が知らなかった、ナチスの爪痕のあまりの深さ、戦争が残す傷跡の残酷さ、その上での赦しをこの映画は教えてくれる。

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ミーノ