劇場公開日 2015年12月12日

「10年後の自分たちへ 10年前の自分たちより」orange オレンジ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.510年後の自分たちへ 10年前の自分たちより

2016年6月10日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

幸せ

相次ぐ少女漫画実写化の中でも、本作は興収30億円超えの近年最大のヒット。
見てらんないものもあれば「俺物語!!」のように愛着沸くものも。
本作は後者であった。

10年後の自分から手紙を受け取った菜穂。それには、恋心を抱くようになる転校生の翔が1年後に死ぬ事、それを救えず後悔している事が書き記されていた。手紙の助言に従い、翔を救おうとするが…。

あらすじから分かる通り、本作にはタイムパラドックスのファンタスティックな要素が含まれている。
青春×タイムパラドックスは好編が生まれる事が多い。アニメ版「時かけ」は名作。
本作も例に漏れず。
少女漫画実写化として見ても、思いの外悪くなかった。

好感持てたのは、主役二人だけのベッタベタなラブストーリーになってない点。
勿論少しずつ距離を縮めていく二人の恋模様も描かれているが、見終わって感じたのは、主役二人を含む男子3人女子3人の友情と青春ストーリー。
運動会のリレーやクライマックスの運命のシーンなど、なかなかホロリとさせられた。
やはりこういう作品は、等身大の青春ストーリーをキラキラ瑞々しくホロリと切なく後味良く爽やかに描いてこそ。
今年になってから連作されているドSのイケメン王子のアホ設定は何なの、あれ。

好感持った点もあれば難点も。
この手の作品を見る時はいつも、主演の女の子が目の保養となり、相手役にケッ!となるが、本作は違った。
ある陰と苦しみを抱える山崎賢人の演技が意外と良かった。(今公開しているドS王子は予告見るだけでも辟易するが)
土屋太鳳は無論可愛い。が、拙い演技といい子ちゃんぶってるような上ずった声が…。
親友たちは適材適所。
また、翔に猛アプローチする真野恵里菜先輩がイヤミなくらい圧倒的に可愛い。出番はちょっとなのに、困った事に。

中盤明らかになる翔の死の真相。
その悩み、苦しみ、悲しみは一人では抱えきれないほど重い。
一人で抱える事ないのだ。
だって傍には、こんなに心配し、思ってくれる親友たちが居るのだから。

タイムパラドックスとはややこしいもので、過去を変えたからと言って手紙を送った未来が変わる事はない。
つまり、その未来では、翔は死んだまま。
が、ここがまたタイムパラドックスの不思議。そこが分岐点となり、幾つものパラレルワールドが生じる。
その中には、親友たちの思いが届き、翔が死を留まった過去があり、新しい未来へ続く世界も。
それを確認する術は無い。
が、それを信じる事は出来る。
10年前の自分たちへ送った願いは、10年後の自分たちへきっと届く…。

近大