劇場公開日 2016年3月19日

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「「ごめんなさい」と言わせられるか?」ちはやふる 上の句 ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「ごめんなさい」と言わせられるか?

2016年4月13日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

前半の千早の過度な情熱、あり得ないほどのクサい台詞のオンパレードに見た事を後悔した。見ているこっちが赤面しそうな、壁ドン系少女漫画の実写化が相次ぐ中、この作品は一味違うかも!?という期待をしたが、これも同じ轍を踏んでしまったか…

だが、全国大会出場をかける東京都大会でその様相が一気に変わる。取った札がスローで飛ぶ、競技中に突然素振りをするなど、過剰な演出は前半同様、いかにも漫画的であるが、前半の描き方が漫画的であるからこそ、そのような過剰な演出も寛容できる。ベタな青春スポ根モノであることに変わりはないが、競技かるたというマイナーな種目を取り扱うことで、なかなかユニークな緊張感と迫力を楽しむことができる。

この手のマイナー競技を映画化する上で大事なポイントは主に2つあると思う。一つは如何にその競技をカッコよく魅せるか?ということ。そして、もう一つは如何に観客にその競技を“知ったかぶり”させられるか?ということである。上述の通り、前者のポイントは漫画的、且つ大胆な演出、更に広瀬すずの瑞々しく、時に凛々しい演技も手伝って、及第点は超えた。だが、後者のポイントはどうだっただろうか?ポピュラーな競技と違い、観客は映画を通じて、その競技のルールや魅力を知ることが多い。故に前半のもっと早い段階において、練習試合などで競技の説明が必要だったのではないだろうか?原作ファンには譲れないところかもしれないが、前半のハチャメチャな部員勧誘などに割いた時間が悔やまれる。

正直、中高生が喜ぶレベルの作品だろうと甘く見ていたが、やりすぎな少女漫画感にガッカリした前半に比べて、後半のかるた大会のカッコよさは意外にも、もっと見てみたいと思わせたくれた。とりわけラストの運命戦の緊迫感はなかなかの見応えがあった。さて、甘く見ていた私に“ごめんなさい”と言わせられるかどうか?勝負は下の句までお預けということで、現状では☆2.5、いや、次への期待を込めて☆3つで様子を見よう。

Ao-aO