劇場公開日 2015年5月23日

  • 予告編を見る

「異形なる者の革命」チャッピー ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5異形なる者の革命

2015年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

知的

いやぁ最っ高に良かったです!ニール・ブロムカンプ節が炸裂じゃないですか!
今までもSF映画で幾度となく描かれてきた人工知能の暴走(?)を、全く新しいアプローチで攻めてくれちゃって。攻めまくってくれちゃって。あんな脚本なかなか書けないでしょ。「ギャングと人工知能ロボットの交流」なんて、どういう頭してたら思いつくんでしょうか?正義のウルヴァリン!ことヒュー・ジャックマン起用しといて、あんな頭イカれポンチの悪党やらせるってのも最高過ぎるでしょ。そして相変わらずの変化球で登場するのがシャルト・コプリーで。シャルト・コプリーは今回も最高でした。
なんていうんだろ。定番、定石、予定調和を覆させたらこの人に敵う若手の映画監督は今そうは居ないんじゃないですかね。

まあニール・ブロムカンプ監督といったら、そりゃあ『第9地区』を抜かして語る訳にはいきません。あの一作が映画界に齎したインパクトといったら図り知れませんし。一介の人間がひょんなことからエイリアンに変貌しちゃうっていう。やがては彼の起こした行動が世界に多大な影響を及ぼす!的なプロットは衝撃でした。
そして、あの一作が恐らく監督にとっての基準点というか、アイデンティティーとでもいうか。あれを新たなアプローチで焼き直したのが、この『チャッピー』ではないかなと、鑑賞中にふと思いまして。
あの人はやりたいことが基本的に変わってないんじゃないのかなと。異形なる者が世界に革命を起こす、的な。
で、それを良しとするかどうかは受け手それぞれの判断だと思うんですけども、自分は支持しますね。それしか出来ないなら、それを突き詰めたらいいんじゃないかと。その上であらゆる定番をひっくり返してくれてったらいいなと。

傑作です。

ロロ・トマシ