劇場公開日 2015年2月14日

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「緊縛と張り型の官能ドラマ」D坂の殺人事件 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0緊縛と張り型の官能ドラマ

2019年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 原作はこんなんだっけ?と、随分前に読んだ記憶があるものの思い出せないでいた。東栄館という安アパートに暮らす失業中の青年・郷田三郎が、花崎古書堂の妻・悦子に惚れてしまう。しかし、蕎麦屋の主人との情事をも目撃し、妄想と激情を繰り返す三郎。やがて蕎麦屋の主人が橋の袂で自殺する騒ぎがあった。偶然通りかかった明智小五郎が気になり、他殺の線で独自捜査を開始する。

 蕎麦屋も緊縛好き。「旦那とどっちがいいんだ~、おりゃおりゃ」といった感じで昼間から責める光景を目撃してしまった三郎。しかし、若く経験もない三郎はとにかく悦子さんに会うため古本屋に通い続け、やがて結ばれる日がやってくる・・・

 完全なるSMの世界。推理する楽しみとかトリックとかの醍醐味をまったく排除してしまい、官能作品と化してしまった。三郎が屋根裏を散歩するというシーンもあるが、これが何にも意味を成してないところが痛い。調べてみると、翌年には続編ともいえる『屋根裏の散歩者』(2016)が同じ主人公で作られているようだ。

 全体的に暗いトーンであるため抑揚もないし、照明さえうまく使われてたら加点してもいいところ。少年探偵団シリーズ以外の江戸川乱歩作品はエロ・グロがあるのは当たり前だが、文芸作品にまでしようという意気込みは感じられる。途中まではミステリアスで良かったけど、後半は間延びした雰囲気でした。AKC探偵事務所ってのは現代的!

kossy