劇場公開日 2016年8月6日

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「展開と時間配分の問題」秘密 THE TOP SECRET まーちさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5展開と時間配分の問題

2016年8月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

最近の邦画だと闇金ウシジマくんの時にも強く感じたのだけれど、2つ分のストーリーを無理に詰め込んでしまって時間配分がうまく出来ておらず、とっても惜しい感じになってしまっている。

せっかく設定が凝っている原作なのだから、もっとひとつに絞って丁寧に葛藤や心の機微を描いて欲しかったと思う。
おそらく監督は絹子編をメインで撮りたかったのでしょうが、薪の因縁である貝沼編も切り捨てられず…というのが忙しい場面転換で見てるこっちに伝わって来てしまって、その点が非常に残念でした。

個人的には貝沼編だけに絞って薪の過去の因縁をしっかり描くことに専念して、評価されてから改めて絹子編を撮って欲しかったと思ってしまいます。
私には主人公薪の根幹であるはずの貝沼編を軽んじているように映りました。
貝沼の記憶が第九の職員が次々と不幸に見舞われるほどのヴィジョンに見えない、もっと軽く感じてしまうのはやはり丁寧に貝沼の心理と執着を描き切れていないという事に尽きると思うのです。

とはいえ必ずヒットして次回作を撮れるという確証は無いわけで、監督としてもどちらのストーリーも切り捨てられなかったのかも知れませんが。

しかし個人的にはけっこう楽しめました。
原作は昔サラッと読み流した程度でうろ覚え状態、けど大まかな設定やストーリーはそこそこ覚えてたっていうのが良かったのかも?

ふたつのストーリーを行き来することで場面転換の度に「あれ?今はどっちの事件の操作?」って考えてしまうのは少々疲れましたが、私は映画って多少考える部分があったほうが楽しめると思っているタイプなので、客観的な評価としては「欲張り過ぎ」、主観的な評価としては「世間の評価はイマイチみたいだけどけっこう面白かった」といったところ。

受け取る側の脳に場面転換に付いていける柔軟性があれば、2時間半の長丁場でも退屈しないけっこういい映画だと思うのですが。

まーち