劇場公開日 2015年7月18日

「2時間ドラマを いち早く見たい人は劇場へ。」HERO 年間100本を劇場で観るシネオさんの映画レビュー(感想・評価)

2.52時間ドラマを いち早く見たい人は劇場へ。

2015年7月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ドラマファンというわけではないけど、
普通にテレビで観てたかな。
検事なのに軽くテンポのいい寸劇と、
ワンパターンだけどブレない主人公で、
誰もが好きなドラマだよね。

そんな映画化は、
やっぱりハードルが高い。

大スクリーンで
好きな人同士が時間を共有するだけじゃなく、
スケールやメッセージ、テーマの明確化など、
映画ならではのこだわりに期待しちゃうから。
それが入場料の対価というか、
劇場で見る意味かなと。

けどHEROの1作目は良かった。
ジリジリした法定での勝負と、
正義が勝つ痛快さ。
そういう意味では残念ながら、
今作は特番ドラマ並。
同じ監督なのに、おかしいよなぁ..。

TVサイズな
うすっぺらな脚本と演出を、
無理矢理スクリーンサイズに引き伸したカンジ。
外交特権のお話もよくあるけど、
御都合主義で突っ走るストーリーに、
突然宇宙が出てくるような突飛で意味のない演出。
ドリフ的なギャグも、もはやジャマなだけ。
テーマがぶれる程の足し算をするだけなら、
ブランドのために映画化はしない方がいい。
監督にこだわりがもてないのなら、
特番でやるべきだよね。
素材がいいだけにもったいないよ。

信念を貫くヒーローも
ぶれていないけど、
もはや見飽きたパターン。
悪を潰す爽快感も、
事件が小ネタすぎて
前作ほどスッキリするワケでもなく。

そして雨宮を出してきたのも、
ネタギレ感の作為が見えまくり。
しかもこのせいで、
たったひとりの女も扱えない
久利生公平のダメ男ぶりが露呈(笑)
うーん、
マイペースで頑固で
自分勝手なアラフォーの主人公は、
もはや時代遅れなカンジなんだよね。
演出なのか、
久利生がやたらタバコを吸うシーンも気になる。
皆が食事してても、
パートナーが隣にいてもスパスパ。
そんな奴、今ドキいませんから(笑)

基本的には
いつものように
CX映画事業部の企画に
無理がありすぎ。
低予算のスピード制作で、
宣伝費をどっさり乗っけて、
真冬に撮影した映画を、
真夏に上映するめちゃくちゃな展開。
36度の猛暑な東京で、
寒い寒いとダウンを着てる
映画を観る違和感はすごかった。
洋画だと気にならないけど、
何故か邦画はダメですな。
ここも、配慮が欲しかった。

でも
俳優陣は良かった。
キムタクは、
大人的にいい味がでてきたなぁ。
若い頃より格段に深みを感じた。
これからは、
年齢なりのシブい男優になってほしいな。

北川景子さんはじめ周りを固める俳優陣も、
さすがの安定です。
息もぴったり。
新顔のイッセー尾形さんや
佐藤浩市さんの存在感も健在。

まぁ厳しいことも書いたけど、
軽く見るにはそこそこいい時間ですよ。
ファンは安定した世界観で、満足だろうし。
2時間ドラマをいち早く見たい人は、
劇場へというカンジ。
そんな楽しみも、悪くないよね。

年間100本を劇場で観るシネオ