劇場公開日 2015年6月27日

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「優しい映画。」アリスのままで mg599さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5優しい映画。

2015年8月3日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

若年性アルツハイマー症。かつて渡辺謙が「明日の記憶」(堤幸彦監督)で演じたあれである。

アリス(ジュリアン・ムーア)はコロンビア大学の言語学の教授。映画は、冒頭からアリスの異常を描出する。
彼女のすごいのは、大学教授ということもあるのか、自分で自分の異常を察知するのだ。そして自ら病院に行き診断を受け、自分で夫に自分の病気を告げるのだ。

また、病気が進行して、長女の名前などを忘れてしまったときには、多量の睡眠薬を飲むように、未来の自分に指示をする。これもすごい。

人間としてのプライド。アリスにはそれがあり、それさえも失い、ただただ生きるだけの自分には耐えられなかったのだ。だが、忘れてしまえはそれまで、ということもある。

リチャード・グラツァー、ウオッシュ・ウエストモアランド監督の演出は端正で、介護の悲惨な実情などは描かない。そこが物足りないところでもあり、この作品の優しい肌ざわりの部分でもある。

アリスは50歳で発症する。
とても他人事とは思えない。
年をとると物忘れがひどくなる。だが、アリスは「抜け落ちる」と言った。この言葉は覚えておきたい。

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mg599