劇場公開日 2015年10月3日

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「いろいろと雑な面は惜しかったですが、吉本実憂の悪魔キャラは良かった」罪の余白 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5いろいろと雑な面は惜しかったですが、吉本実憂の悪魔キャラは良かった

2016年11月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

萌える

もう少し拘って作ればかなり面白い作品になった気もするのですが・・・リアリティの無さといろいろと雑だった面が、どうしても気になってしまった作品でしたね。
基本的なストーリーは悪くなかったと思いましたけど。
こう言ったスクールカーストは現実にもあることだし、直接的じゃないイジメ描写も意外とこんな感じで追い詰められていくのかなと思わされる部分もあったりで、傑作の香り漂う序盤はグイッと引き込まれたのですが、内野聖陽が演じた自殺した少女の父親の行動、立ち振舞いを見ているうちに少しづつトーンダウン・・・。
行動心理学者なのに行動に説得力が無く、リアリティの無さも相まって見ていて何かイライラしました、定番の酒に溺れる描写も何だかねぇ。

それでも最後まで見入ってしまったのは、吉本実憂が演じたダークヒロイン木場咲の邪悪さ、したたかさに、まあとにかくこいつを何とかしてほしいと感情移入させられた分、何だかんだで見れたのかなと思いました。
欲を言えば、咲は加奈、真帆、笹川以外の人物とはほとんど絡みが無かったですから、咲がどうクラス全体を牛耳っているのか、もう一つ伝わってこなかったのはちょっと惜しかったなと(あと咲のバックボーンも何かあれば)
間接的に支配していくあの感じはゾクゾクッとさせられただけに、尚更惜しい。
でも圧巻だったのは谷村美月を追い詰めたシーンか、可愛い顔して言うことはとにかく凄い、しかも的を得ていただけに、見ているこっちも追い詰めれた気分に陥ってしまいました。

しかしあの結末はどうなのかな、やっぱりこの結末で作品の価値が下がった気がしました。
と言うか加奈の父親は、もう少し何か心理学者らしい綿密な作戦はなかったのかな、怒っているばっかりではねぇ、それと咲も意外と抜けてる行動を見せるのが何か惜しいと言うか・・・。
あと笹川のキャラも前半は良かったけど、後半は見せ場なく、ちょっと使い方が勿体無かったなと、葵わかなが良い雰囲気を醸し出していただけにねぇ。

ただ個人的には、加奈の父親の後輩を演じた谷村美月のモッサリ萌えキャラに妙に癒された部分もあって、作品そのものはやや微妙に感じたものの、違う部分では意外と楽しめた映画でしたよ。
健気過ぎて泣けてくる(せっかくご飯作ったのになぁ)、全くモテナイ処女キャラ的設定でしたけど、私は好きだなぁ、谷村美月史上一、二を争うダサさではありましたけど・・・(どんな役にも嵌れる上手さが凄い)
そんな訳で、内容よりも、私は吉本実憂の悪魔っぷりと谷村美月の萌えキャラで楽しめた映画でした。

スペランカー