劇場公開日 2015年12月5日

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「〝紙切れ1枚”が救った命。壮大なスケールで伝える、命の尊さ。」杉原千畝 スギハラチウネ 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5〝紙切れ1枚”が救った命。壮大なスケールで伝える、命の尊さ。

2015年12月8日
PCから投稿

泣ける

悲しい

難しい

【賛否両論チェック】
賛:戦争下、〝紙切れ1枚”で救える命があったこと、そしてその命を政府に背いて救い続けた主人公に驚かされ、感動させられる。戦争の悲惨さを、マクロな視点から痛感。
否:戦争による虐殺シーンなんかが結構あるので、苦手な人には不向きかも。上映時間もやや長めか。

 最初は、
「モスクワに行って、ソ連という国を知りたい!!」
という一心で仕事に明け暮れていた杉原が、戦争による世界情勢の悲惨さを知っていくうちに、次第に人々を救うことで〝世界を変える”力になっていく姿が、感動を誘います。杉原自身、ビザを度々〝紙切れ1枚”と呼んでいて、そんな紙切れでも政府に背いて発給を続けたことで、多くの命が救われたという事実にも、命の尊さを痛感させられるようです。
 一方で、杉原でも助けることが出来ず、最終的には強制収容所に送られてしまった人々の姿も描かれ、戦争の悲惨さも改めて考えさせられます。また個人的には、そうした一連の杉原の功績が、つい最近まで評価されず、外務省もその存在を伏せていたという描写にも、驚かされました。
 虐殺のシーンもあり、気軽に観られる映画ではありませんが、戦争や命についてマクロな視点から考えさせられる、そんな作品です。

映画コーディネーター・門倉カド