劇場公開日 2015年4月10日

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「本気の芝居に取り憑かれた男の狂気」バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 巫女雷男さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5本気の芝居に取り憑かれた男の狂気

2020年2月29日
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鑑賞方法:VOD

知的

萌える

過去「バードマン」というヒーロー映画で人気を集めた主人公が小さな劇場の芝居にて再起を謀る話。

一つ前レビュー「ゾンビランド ダブルタップ」のエマ・ストーン繋がり、且つ未視聴と言う事でチョイス。
この作品のエマ・ストーンが1番好きだなw

映像も脚本も丁寧で心理的工夫がある作品。
長時間ワンカット風にて撮影され、主人公、主人公を取り巻く家族、他役者、舞台関係者、様々な人間にフォーカスを順番に当てて行き、尚且つ魅せるアングルを活用する様は素晴らしいセンスを感じる。

現代にて人気にあやかるヒーローモノ及び俳優を皮肉る主人公の姿は昔自分もやってた事(実際にも過去バットマンを演じる。たぶんバードマンと重ねる部分もあり、マイケル・キートンが主人公採用なんだろうね)もあり愛敬がある。

リタイアしてもいい歳なのに俳優業に未練がある主人公。私財を投げ売ってまで再起を掛ける男に過去の産物「バードマン」が幻聴の様に語りかけてくる。

そこに、共に演劇を行うエドワード・ノートンが主人公の演じる形に対してプレッシャーを掛けてくる所も見逃せない。

彼は別映画「ファイト・クラブ」と言う心理状態を利用した傑作の主人公を演じており、それを知っててわざわざこの作品(心理状態を活かした映画)に抜擢したのであれば、(マイケル・キートン主人公採用の件と同じく)この監督おそるべしである。
私には狙ってキャスティングし作った様にしか思えなかった。

また、バードマンが徐々に幻聴→空想→幻覚と、主人公の内心的および外見までも侵食していく様も面白かった。

最後は皆さまの想像にお任せする的だが、何とも心理的映画らしい終わり方。

考えさせられ、見応えのある映画でした。

巫女雷男