劇場公開日 2019年10月18日

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「素晴らしい!」解放区 蛇足軒瞬平太さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5素晴らしい!

2019年9月26日
PCから投稿

知らない人からメールが来ました。

某所でのディスカッションの内容を、
パンフレットに掲載してもいいか?
ということでした。

私のメアドを誰から聞いたとか、
作品の詳しい情報もありません。

本作の監督からのメールでした。

作品自体の内容、
掲載の趣旨や、
どんな構成で、
どういう内容になるのか説明はありません。

みんなで色々と作業をしていて、
大変なんだろうと、
何も聞かずに承諾の返信をしました。
少しでも応援したいから。

そして本作を拝見しました。

素晴らしい!

この作品を受け入れる観客と、
拒絶する観客がいるでしょう。

受け入れる観客はフィクションと、
メッセージに共感し、

拒絶する観客はフェイクが気持ちよくないとか、
あるいは手法全体が気に入らないとかなんとか・・。

どちらにしても、この監督の狙い通りでしょう。

フィクションとフェイクをうまくブレンドして不穏さでコーティングしている、
まっとうな青春映画でした。

まっとうな青春映画?

引きこもりの登場人物を釜ヶ崎まで引っ張り出したり(「東のエデン」を思い出した。エデンの東ではなくて)、困ってる人を何とかしたい、そんな事では救えない、オマエの正義はおかしい、あなたの正義こそ違う、自分はいったいどこにいて何者?
めちゃまっとう。

というような主人公たちの無垢な心の叫びと、

主人公の目と耳と皮膚を通じて、
スクリーンも通過して、
三角公園と三角公園の歌詞と三角公園の人たちと観客を共鳴させてしまう仕掛けの、まっとうな青春映画。

欲を言えば、
あんたたちの正義は正しいかどうかわからないけど、あの人、サンドバッグをバンバンバンバンまた蹴り始めたよ、
とか見たかった。
けど、
これ以上まっとうになったら、
解放やフェイクの意味が無くなってしまうのかな。
種も仕掛けも見事に計算された素晴らしいマジックのようなトリックのような作品でした。

信じるか信じないかはあなたしだい、
ではなく、

良い形で話題になる事を期待しています。

蛇足軒瞬平太