劇場公開日 2014年10月18日

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「泣く男に泣け」泣く男 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0泣く男に泣け

2019年6月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

興奮

『アジョシ』のイ・ジョンボム監督が再び放つ、アクション哀歌。

本作もアクション描写はキレがあり、ハード。
銃撃戦に肉弾戦。中盤から熾烈さを極め、クライマックスは血塗れ。
痛々しいほど。

でも、アクション以上に痛々しいのが、主人公の運命。
プロの殺し屋のゴンはある依頼を遂行中、誤って居合わせた少女を殺してしまう。
クールで感情を表さないゴンだが、激しく動揺。罪悪感に囚われ、自暴自棄になる。彼にも人の心はあったのだ。
そんな彼に仕事の依頼が。ターゲットは若い女社長。
運命は残酷。その女社長は、ゴンが誤殺した少女の母親だった…!

あゝ、何という無情な巡り合わせ!
少女を殺した上に、その母親まで殺さなければならないのか…!
ゴンの心に深い傷を負わせた少女の誤殺だが、実の母親ともなれば…。
一見バリバリのキャリアウーマンだが、娘を失った悲しみから立ち直れない。自ら命を絶とうともする。
プロの殺し屋なら、依頼は完璧にやり遂げる。しかし…。
女社長の命を狙い、国内の組織やアメリカから刺客が…。
ゴンが取った行動は…。

おそらくゴンは、ターゲットが少女の母親と知って、自分の末路を決めていたに違いない。
俺は死ぬ。いや、死ぬべきだ。
死ぬのなら、組織の手に掛かってではなく、俺を殺すのに相応しい人にこの命を絶って貰いたい。
男は、死に場所を求めていた。

チャン・ドンゴンが熱演。
タイトルが“泣く男”なのに、泣くシーンはずっと無い。
男は涙を見せない。
が、最後の最後…。
その男泣きに胸打たれる。

近大