劇場公開日 2016年3月12日

  • 予告編を見る

「文章が映像に勝つ。」エヴェレスト 神々の山嶺(いただき) mg599さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0文章が映像に勝つ。

2016年4月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

これは難しい題材に手を出したものだ。
加藤正人脚本、平山秀幸監督の手に余ったとしか思えない出来であった。

原作と映画を比べる、ということはよくやることだが、たいていの場合、原作のほうがいい。これは平等に比べていいかどうかではなく、原作ありきだからだと思う。
原作ものでも名作たりえるものは数多くあるが、僕がそう思っているものは、映画を先に観たか、原作を読んでいないか、である。

だが、本作はそういうことではない気がする。
映像が文章に、純粋に負けた気がしたのだ。
夢枕獏の原作にみなぎる山への執念みたいなものは、エヴェレストに、誰が最初に登頂したかということから始まって、羽生が誰もやったことのないルートを選ぶことで、「最初」がやはり強調される。

山に興味のないものにまで物語を読ませる夢枕獏の筆力に、この映画を観て、あらためて感服した。

エヴェレストはあんな薄っぺらではないはずだ。

コメントする
mg599