劇場公開日 2015年6月27日

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「みんなだれかのいい子」きみはいい子 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0みんなだれかのいい子

2016年3月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

幸せ

「そこのみにて光輝く」に続く呉美保監督作。
これまたズシリと響く作品。

生徒たちとの向き合い方に悩む新米教師。
幼い娘に手を上げてしまう母。
認知症気味の老女と障害のある少年。
3つのエピソードを紡いでいく。

学級崩壊、虐待、認知症…描かれる題材はなかなかにキツい。
特に主軸の新米教師と虐待母。
次から次へと問題が起きるクラスに、見てるこっちも「ああ~ッ!!」となりそう。
虐待シーンは痛ましい。

が、根底には温もりも感じた。
生徒たちに出した“宿題”がまさにそれ。
ママ友に冗談で「ウチの子になる?」と聞かれ、娘は…。
障害者の息子を持つある母親に認知症の老女がかけた言葉…。

当人たちにも問題がある。が、その責任全てを負わせるのは酷だ。
言うことを聞かないガキども、ちょっとの事であれやこれや言ってくる保護者たちに問題が何も無いとでも言うのか。
虐待は100%悪い。が、虐待をしてしまう親の原因のほとんどは自分も同じ身だったから。その時、誰か一人でも、庇ってくれる人は居なかったのか。

高良健吾、尾野真千子ら実力派が難しい役所を熱演。
特に虐待する母を演じた尾野真千子は辛かった筈。
「そこのみにて光輝く」に続いて呉美保作品参加の池脇千鶴も好助演。

息が詰まりそうなほど苦しい、悲しい人間関係。
その合間に見える愛おしさを、抱きしめたい。

近大