劇場公開日 2018年10月6日

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「人のエゴと欲望の行き着く先は何処なのか?」チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人のエゴと欲望の行き着く先は何処なのか?

2018年12月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

予備知識ゼロ状態、全くの白紙状態で本作を観賞した。
その為か、早い段階から、すっかりソフィアの若い画家との不倫と言う熱病が移されたようにハラハラドキドキと心が落ち着かない。
その不気味な高揚感と不安の入り混じり合った気持ちはついに、本作の最後迄いっきに私の感情を掴んで離さなかった。非常に精神的に疲れ果てる怖い作品だったと思う。

本作のヒロイン、ソフィアの年老いた夫のコルネリスの仕事がどれ程成功しても、喜びを分かち合う家族が存在しなかった事に加えて、跡継ぎが出来ない虚しさと、焦り等諸々の焦燥感で若い嫁との再婚で余計に自らの不安を煽る結果を招く事になる気持ちが、痛い、痛過ぎる。
そして、魚屋の野心と恋心、勿論若き画家ヤンの情熱も手に取る様に理解出来る。
男3人3様のそれぞれのエゴや葛藤、そして残り半分の純粋な気持ちの部分もこうも、直球を投げられると痛かった!

そしてヒロインのソフィアも、夫の恩に報いたい半面、年齢差は埋められず、若い画家との情熱が抑えられずに、道を踏み外して行くその人間の心の弱さ、これも苦しいし、痛い!非常に良く理解出来るだけに、痛かった!

人間って不思議な生き者で、やってはいけない禁止事項や、人の物は自分も欲しくなると言う嫉妬とつまらない欲が自らの運命を狂わせる悲しい性がある様だ。

ソフィアが着ていた目の覚めるようでいて、それで深く怪しい光を放つ深海の色のような青いドレス。
或いは月に照らし出され浮かび出す闇夜の空の様なブルーのドレスが、本作の登場人物みんなの心のエゴの象徴なのかも知れない!
逆にソフィアの着ているドレスがもしも、燃える彼女の情熱の様な真っ赤なドレスだったなら、きっとこれ程の魅力と言うか、魔性性はきっと半減していたかも知れない。

自分を始め、人間の心の奥にひっそりと声も出さずに隠れていそうな欲望やエゴが浮き彫りされる怖い作品だった。

ryuu topiann