劇場公開日 2014年12月20日

  • 予告編を見る

「さあ、存分に安藤サクラを愛でよう。」百円の恋 lylycoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0さあ、存分に安藤サクラを愛でよう。

2015年12月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

そういう映画だと思ってみると、とりあえずは楽しめる。ブス、小デブ、猫背、非コミュのREALダメ人間を演じさせて、彼女の右に出る女優はそうはいない。これが、じわじわ愛おしく思えてくる。稀有な才能だと思う。

底辺ライフの只中で、ボクシングに没頭していく主人公に、ジムの会長が水を差すようなことばかりいう。あれがいい。これはロッキーみたいな負け犬の逆転劇ではもちろんないし、ニート女がボクシングを通して自分探しみたいな都合のいい話でもない。会長のセリフがそれを明示している。

現実と折り合いをつけるというのは、簡単なようで難しい。だれもがままならない生を生きている。良いか悪いかなんて死ぬまで、あるいは死んでも、判らない。昨日とは少しだけ違う今日を、ただ生きていることを慈しもう。そんなふうに思わせてくれる、好い映画だった。

lylyco